内海新聞のブログ

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2024:停電で何が起きるか?

 先般うちが電力会社の工事で停電したので、災害装備の実験にいいと思って動画をつくりました。
南海トラフで停電!車のサブバッテリーで家の電気やエアコンどれだけ使えるの?

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災害指令車のミニキャブミーブから家に家庭用AC100Vを給電して家の家電が停電時間中使えるか?実験しました。

停電後、まず、必要になったのは「あかり」でした。乾電池式の懐中電灯・ランタン……ダイソーで手に入るレベル……すごく役に立ちました。

手元が明るくなったら、ミーブから家の中まで延長ケーブルで引き込むわけですが「10m」はいります。なので、駐車位置からだと20、30m必要な方も出てくるでしょう。

「延長10mの電源延長コード」……必須です。

さらに、それを家庭内で分岐するための「3つ口」「テーブルタップ」もいりました。

■エアコンが動かせました
 ミーブ搭載のバッテリーからの電気で6畳用の一番小さいエアコン(2.2kW)が動かせました。また55型の大型液晶テレビも問題なく動作。これによって災害時でもテレビで情報がとれることが確認できました。

■ネットやPCも使えるようになりました
 さらに、NTTの光回線が災害で死んでなければ終端装置のONUの電源が供給できれば無線LANアダプタ、PC・モニタのセットも動作できるので、つないでみたら全部動作し「ネット環境」も災害時でも使えることが確認できました。

■調理も普通にできました
 キッチンの「食器洗い機」「炊飯器」も使用でき、炊飯器で料理も行えました。これで、災害時でも平時と同等の調理が遂行できることが確認できました。900Wの電気ポットでのお湯沸かし・お茶も入れることができました。

■3時間の停電でも問題なかった
 3時間の工事時間中、普通にテレビもPCもエアコンも動かし続けることができました。ミーブのバッテリーバンクの実容量の21%ぐらいの使用で済みました。

これから推測して15時間ぐらいはエアコンを使っていられることがわかりました。
時間を限定して節約して使えば2~3日は使えそうです。

■教訓
1.パナソニックの家電は「省電力」が多く、高性能です。特にエアコンは「他社より低電力」なので、いざというときバッテリーの限られたエネルギーで動作させるとき有利です。

2.500W以内で動作する家電で揃えておくと災害時「ポータブル電源」などで動作させることがしやすい。特に「連続運転」「長時間稼働」で圧倒的に差が出ます。

生活を継続するためには「長い時間使える」「何度でも使える」体制がいります。
世間の家電は値段が高い機種、高級品は「電力バカ食い」が多いです。(炊飯器など)
うちでは家電は基本「500W以内」に抑えたものに絞って購入しています。
それでも、今回900Wの電気ポットを使いましたが問題なくお湯を作ることができました。

3.延長コードが10mいる。何組でもあったほうがいい。あと分岐のテーブルタップ、3つ口なども複数持っていると便利。

1つの部屋だけでなく、複数の部屋で家電を使う場合に「分岐」「さらなる延長コード類」がその分いります。ふだんから「どこでつかうか」計画して本数揃えておくことです。せっかく電気をもらえても「届かない」ことが多発します。

4.作業時手元を照らす「あかり」絶対いる。ランタン、ヘッドライト……すごくいります。乾電池式が多いですが「ニッケル水素充電池」で運用できるので、それをソーラーバッテリーで充電できれば「外部に頼らず長期間自活」できます。

【乾電池で動く家電】+【ニッケル水素充電池】+【ソーラーバッテリーで充電】
このシステムを完備しておくと……本当に助かります。

■電力会社の示す「問題ポイント」
 それで、皆さんも今後、東南海トラフ地震などの災害で「停電」起きると思います。その際、家庭で何が起きるか?電力会社が示してきた「リスクケース」を書いておきます。各自「備えて」「どうやってクリアするか?」考えて準備しておくことです。

1.パソコン・ルーター
 ポタ電があれば稼働できます。モニターの消費電力を最低限の機種にしておくのがコツです。

2.冷蔵庫・冷凍庫……3時間の停電ぐらいだと庫内は3℃。冷凍庫はマイナス5℃など維持されていました。これを生かし続けるための「ポタ電」はあってもいいかと思います。一度冷えた冷蔵庫を維持する電力はさほどいらないからです。

3.エアコン
 6畳用のエアコンなら当方の実験で「起動時760W最大」で以後は巡航運転になり200~360W程度で動作し続けます(冷暖房ともに)なので、実はある程度のバッテリーを用意すれば「動かせます」。

4.電熱器具
 ポタ電などでも使用しづらいので、持たないほうがいいと思います。

5.時計機能付きの電気機器
 停電でリセットされたりする。これも内蔵電池の機種だとクリアできますね。タイマーやスケジュールで繰り返し使用するものは再設定がいりますね。

6.電気給湯器(エコキュート
 当方でも、停電後の「設定」がやり直しになる感じでした。

7.電話・FAX
 通話はできないですね。スマホに頼ることになります。ネットFAXできれば、ネットさえつながれば家のFAX壊れても使えます。そういう体制の構築もありですね。

8.エレベーター・立体駐車場
 動作不能になるので、閉じ込められるリスク。車が出し入れできない。そういう点で使わないほうがいいわけです。そういう家に住まない……

9.電気錠・電動シャッター
 これ、けっこう致命的ですね。アナログで使える機種ならいいのですが。シャッターは開かなくなるでしょう。なので手動がいいと思います。

 自動車もイモビライザーとかリモコン系は盗難も多いし、原始的だけど「金属のカギで手動」にしたほうがいいと思います。

10.人工呼吸器
 家で人工呼吸器を使用しないと生きていけない人は致命的です。ポタ電、ソーラーバッテリーで電力会社が落ちても、動かし続ける体制がいります。

11.リモコン対応照明器具
 これは、つけっぱなしだと停電再開後にまた勝手についてしまう……程度です。ただ、オリジナルのスイッチがないと致命的ですね。万が一でも手が届いて使える体制がいるから、自分で別途「災害時用の照明」がいります。

12.熱帯魚などの水槽
 これも、能登の水族館で起きてしまいました。エアレーションのポンプが止まるので。こちらも自分でバッテリーで停電中も稼働できる体制がいります。

13.水揚げポンプ
 これが、意外と致命的です。マンションやビルでは「最上階のタンク」に「浄水場からの水を電動ポンプで」「くみ上げ」ています。それが動かない。なので、発災後は「タンクの水の管理」「コントロール」して「水を分け合って使わないと」「個々の家が勝手に使ったら」たちまち……枯渇します。

最新鋭の水道局のシステムだと「2Fまでは」「ジェット水圧で」「水を送れる」のですが、それ以上の階は水がこなくなります。

なので、マンションやアパート住む際は「2Fまで」にしておくのが本来いい。以前の関東の地震で千葉の読者の方も「マンション1Fだったので」「水きたが」「3F上は断水で困っていた」そうです。

14.セキュリティシステム
 停電で、思わぬ問題が「停電状態の異常として警備会社のアラートになる」ことです。こちらも本当の災害なら来てもらっていいのですが(来れるかも怪しいけど)計画停電の際は「警備会社にいちいち連絡しておく」必要が生じます。面倒ですね。

15.太陽光発電
 家の屋根の発電は「売電が不能」になります。まあ、災害時はその電気を使うのでいいですけど。

……どうでしたか?ふだん見落としていたポイントもあったと思います。今から準備して備えましょう。
(内海君:小市民)