今の耐震基準で作ったはずの家が熊本地震、能登半島地震であっさり倒壊しました。「何がだめだったのか?」調べて考えていました。で、ある「解」が浮かんだので書いておきます。これから家を建てる人、リフォームや、DIYで小屋などをつくろうと考えている人の参考になればと思います。
1.「筋交い」が意味なかった
通常、在来木造建築だと「筋交い」を入れます。土台に柱を立てて桁(けた)という長い家の天井の囲いをつくる木材を横に渡して乗せて「長方形の壁枠」ができます。
でも、これだけだと「横に揺れたら」「長方形がゆがんで」「ゆがみがひどいと」「そのまま柱がしなって折れて」「家が倒壊」します。
なので「斜めに角材」を「対角線的に入れる」これが「筋交い」です。こうしたら強度が増します。
だけど、作るところを見たらわかるのですが「角材を斜めに切って」「角に合わせて固定する」ので「どうしても先端は弱い」わけです。
もちろん「金具」「ボルト」で角材同士を固定したりはしますけど。今回みたいな「震度7」が「何度も襲う」場合は「破断」します。
で、新しい耐震基準で建てても「筋交い」「程度」で作ったら……「意味なし」だったわけです。
2.じゃあどうすりゃいいの?
家の強度をどうしたらいいのかな?って私も以前考えていた時、アメリカの「2×4工法、すなわちツーバイフォー」の家を調べました。
アメリカ人は合理主義で、科学的に解決するので、私も大いに参考にしていますが、彼らは「柱で支えるのでなく」「強度のある合板で」「マッチ箱」を「作って」「つなげるのが強度的に強い」と……考えました。
理論上は「頑丈な板で6面体の箱をつくれば勝ち」です。
で、それがツーバイフォー住宅です。柱を使わず「板を組み合わせて」「箱にする」わけです。そうしてできた箱をつなげて積んで家にする。
これは在来工法と違って「建築の自由度は下がる」のですが……つまり、広い空間とか高い吹き抜け天井……とかトリッキーでかっこいい空間はできなくなるけど、普通に暮らす家なら十分なつくりができます。
まあ、もっとも「高い吹き抜けの家」「リビング天井が2F分ある」ような大空間は私もいいなと思ったのですが、いざそういう家にすると「高いところの掃除が転落事故レベルになる」ので「メンテが悪い」家になる。
見てくれにこだわると「運用が大変」になる。
なので「メンテが便利で」「なおかつ見栄えもいい」のがベストです。
ということで「柱だけでなく」「板の面で」「強度を上げる」のが……いいと思います。
ツーバイフォーは震度7でも強いですね。アメリカの勝利だな。
★ツーバイフォー地震実験(震度7)
3.FP工法
それで名前は聞いていたのですが、たまたまいい動画があったので、見ておくといいです。
★地震に強い壁
★地震に強い家「FPの家」耐震性能の実証
こんなに良かったんですね。ただ値段高いそうです。坪80万円は軽くいくみたい。
ウレタンの板で強度と断熱両方実現するのはいいアイデアだと思います。
ただ、断熱工法については見てて「?」があって、それはですね。断熱は「原則、壁だけでなく柱まで全部断熱材で覆えないと断熱効果は出ない」というポイントですね。FPさん、柱までや露出建材まできちんとやるのかな??
床断熱もそうなんだけど、あれ「大引(おおびき)」という床板をささえる骨組みの「四角いスペース」だけウレタン板を入れる、リフォーム会社、工務店が多いけど……あれ……完璧アウトです。
実際は「大引」自体も断熱材で覆わないと……意味なし。熱が必ず断熱材がない部分から伝導するので……。
知らない人は……頼むとき気を付けてね。そういうところまで施工できる業者……私……見たことない。
4.大手住宅メーカー
日本勢も負けてはいないです。地震の国ですから。大手の会社は金があるので耐震に目が行くので値段は高いけどそれなりの強さを持っています。
★スウェーデンハウス(ツーバフィフォー)強いですね
★アキュラホーム
4.欧米の「レンガ造りの家」実は強かった
これ、意外でしたね。欧米の「レンガ造りの家」実は震度7にも強い。
レンガ造りの家だったら自分でDIYでやれるから(笑)案外いいかも。
5.実はボボイ今の家でも「逃げる」手法があるよ
でも、ボボイ今のあなたの家でも今のまま「逃げる」裏技あるんです。これでした。
★震度6強の耐震実験
鉄の筋交いを家の外壁に取り付けて「地震の揺れを逃がす」工法です。これだと取付で済むのでいいかも。
6.日本の神社仏閣が強い理由
でも、日本の数百年もってきた「神社仏閣」建築……なんで強いんでしょうね?
あれ、土台と家が「接合されていない」んですよ。あと、江戸時代までは「大名や金持ちの家は柱がえらいぶっとい」ですよね。
なので移住コンサルティングで古民家物件を探してくる方には「いつ建てたものか?」「いままで地震があったのに生き残っていたか?」を「知る」と「明治以前の古民家は」「家のいい人はけっこう頑丈につくっているので」「意外と強い」と判断しています。
でも、京都の町家にせよ「貧乏人が住んでいた家」は「柱も細い」ので「耐震性ない」わけです。
なので、古民家だから全部いいわけでもないし「誰がつくって」「誰が住んでいたか?」のほうが重要だということです。
自分京都にいたとき三十三間堂の「上」じゃなくて「下」「土台」ばっか見ていたんだけど……「すげーな」「これ、もともと平安とかそんな時代だろ(1165年)」「ものすごいぶっとい丸太みたいな木でがっしり組んである」ことに……感動しました。
正倉院なんて……柱太いですよね。そして壁が「板組」「校倉(あぜくら)」……これ見事に耐震性も考え抜かれていた気がする。
あの時代の大工棟梁……すごかったな。尊敬するわ。
自分、いつも建築を考えるとき正倉院を見るんですよ。「どういう建て方して」「どう組んだの?」っていつも考えるのね。
すごいから……、パーフェクト……。だから数百年もつ。
日本の古代・古来の建築は土台に接合しないで「つきかためて支持層をつかんで」「礎石を置いて」「柱を立てるだけ」。
つまり「椅子が台や地面にのっかっているような状態」なわけで、地面が揺れたら「椅子たる家は振動で上を動き回るけど」「折れない」わけです。
知り合いに大阪の古くからの寺の住職がいますが「阪神淡路でも」「大きな本堂も」「土台の上の寺ごとずれたが」「倒壊はまるでしなかった」……ということでした。
参考になりますね。
7.ログハウス
正倉院の欧米版が「ログハウス」です。重たくぶっとい丸太で井桁(いげた)に組むんでがんじょう。これもありでしょうね。
8.自動車が意外と安全
今回能登激しい揺れ……見ましたよね。駐車場の自動車……大揺れはしても「倒壊はしない」……これこそ……すごい。
なぜって?……自動車は最初から「震度7の揺れ」で「走行しないといけない」からです。揺れと振動を克服するように設計されています。
足にサスペンションとゴムタイヤですので「制振」「免振」全部盛り込まれている。
変な話ですけど「ハイエース」「エヴリィ」などのバンやワゴンを家にしたほうが……お手軽に安全……だったりする。倉庫や車中泊に使うほうがいいかもね。
■どうしたらいいかね?
少しおぼろげにわかるのは
(1)「2F建ての家は不利」「平屋がいいだろう」ということ
(2)「1Fの壁面を」「補強か」「面で強化する」のが利口だろうなということ。
(3)「壁を板にする」「壁を物質でぎゅうぎゅうにつめておく」のがいい
→FPのようなウレタンや「レンガ」など。
(4)土台と家をやたら固定するより「遊び」があったほうが力を逃がせる。あるいは徹底的に固定してしまう。(どっちか)
(5)プレハブはなめられない。軽い屋根、鉄パイプで筋交いで意外と強い。
■ちょっと過激ですが
さっきおぼろげにアイデアで浮かんだのですが「へぼい2F建ての在来の家も1F部分、周囲を軒まで全部土で埋めて固めたら強くなるだろうな」……
土嚢を軒下まである程度厚みあるよう積んで堤防みたいにして壁が揺れないようにしたら……どうだろ??
家や小屋を設計する時、こうした技術要素を取り入れると地震に強い家ができそうです。
(内海君:小市民)