内海新聞のブログ

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2022:1つの病院で検査結果信じたらダメな理由

「市の検診で」「肝のう胞」「腎のう胞」見つかって、さらには「子宮筋腫」まで見つかったAさん。その後のレポートで「大ドンデン」が起きました。

■「子宮筋腫……4㎝なかった」
Aさんの経過を簡単に書いておきます。

50代女性。これまで「病院嫌い」「検査きらい」「検診も毎度A判定で健康だし」と病院行かないAさん。11月ごろ「内海新聞の記事を読んで」「腹部超音波してみよう」と「だいじょうぶに決まっている」と市の特定検診に腹部超音波をオプションでつけて検査しました。

ところが「肝臓にのう胞」「腎臓にものう胞」と指摘され「どうしよう」となり、私に相談してきました。「頻尿もあるのですが、夜中に何度もトイレにいくので」とのこと。
「まず、のう胞の大きさと数を検診センターに確認しては」
Aさんは検診センターに照会しました。
「腎臓は8㎜が2つ」「肝臓も2つぐらい。大きさはわからない」

それで、とりあえず「頻尿」「腎のう胞からつぶそう」ということで、見立てた泌尿器科指導医がいるという開業医のクリニックを受診してそこの大学病院出身の若い医師が超音波エコーで再度確認したら

「腎臓は2つだが大きさは15mmとか。肝臓はわからない。頻尿は精神的なものや更年期のものでしょう。薬で治しましょう」と薬を処方されたそうです。

「これで決着したか?」と思いたかったが

「検診とクリニックで同じ腎のう胞のサイズが違いすぎる。念のため総合病院の肝胆膵・泌尿器科の専門医・指導医でダブルチェックしてもらえますか?」

ということで、総合病院(済生会西条)行ったら「腹部超音波をさらに念入りに検査」してくれたのですが、その結果が「また仰天」

まず、肝胆膵専門医は「肝のう胞は問題ない。経過観察もまた次回の超音波検査する程度で十分。でも、子宮筋腫が見つかりました。サイズが4㎝ある。2つぐらいあります。産婦人科の受診を」

そして、泌尿器科指導医は「超音波の結果を見ても、腎のう胞は【なし】です。頻尿は子宮筋腫の影響で起きている可能性があるよ。産婦人科受診したほうがいい。」

「真逆じゃないか!」「しかも子宮筋腫出現」「頻尿の原因も違うことになる」

そう……2回の「腹部超音波検査」で「子宮筋腫は見逃していた」のです。しかも最初の2つの医療機関が「腎のう胞2つある」も「なかった」。挙句の果てに「頻尿は薬で治せばいい」なんて「診断トンデモで違うほうに解決をしようとしている」

なんじゃこりゃ?になって、Aさん、混乱と不安に陥りました。

「いやあ、武田さんの言っていた通り、一つの病院で信じたらだめですね」

ということで、産婦人科も探してあげたのですが、西条市とか東予地区って「産婦人科自体がほとんど存在していない」

そうでしょうね。産婦人科は「きつい」「クレーム多い」で医師もやりたがらないから。どんどん減って、ないんだよね。

それでも、西条市の場合「西条中央病院」というところが「唯一総合病院で熱心」にやって指導医もいるんでそこにしてもらいました。

「とてもきれいな病院で、患者のプライバシーも番号で呼ばれるようにされているし、先生も親切でよかったです。ありがとうございました」
とお礼の感想をいただけました。

私がここがいいかなと思ったのは筋腫が「4㎝だと」「手術行く可能性が高い」からです。なので、最初から入院して手術バリバリできる体制の病院を選んでおいたほうがいい。もちろん指導医を指名してもらいました。予想通り「ちゃんとして」「優秀」な先生でした。ついでに「子宮頸がんの検診」もあっという間にしてくれて……

さて、結果ですが
「先生に診てもらったのですが、子宮筋腫はあったけど2㎝で2つ。この程度ならこのまま放置で十分。今後の経過観察すらいらないです。閉経まで待てばいい。子宮頸がんもありません。」

「子宮系問題なし」の太鼓判までもらったとのことです。「手術かも」ってすっかり落ち込んでいた本人も元気になられました。

またもや「仰天な結果」になりました。本人は「ラッキー」で終わったのでいいけど、それにしても「毎度、医師によって検査結果の判断が変わってしまう」

特に今回は「のう胞がある」「子宮筋腫が大きい」と……総合病院ですら言われたのに……別の医師が見直したら「違う」というわけです。手術に向かう4㎝と指摘されたものが実際は2㎝の問題ないレベルになってしまった。

これじゃ、患者側は「ひとつの病院で、腫瘍だ」と言われたから「はい、手術します」……はこわいということです。

■どうしてこうなるの?
 最後に診た産婦人科の医師はこう言ったそうです。
「いや、確かに腹部超音波でそう見えたようだから、4㎝といって指摘したのだろうね。ただ、実際に内診したら2㎝。

で、通常は腹部超音波の検査をする病院のチームでも子宮筋腫までは見つけないんだよ。

だけど今回の済生会西条病院の検査チームはすごくしっかり検査をしてくれていて、疑いを限りなく見つけてくれている。がんばったと思うんだけど、結果としては問題はなかった。」

……つまりですね。市の検診とか、クリニックとかで超音波検査しても「見逃したり」「誤認する」ことは「ふつうにある」ということなのです。

あと、感じたのは市の検診は「なるべくグレーは黒にして」「病院に送ってきちんと白黒つけてもらいたい」という意思がはたらいている気もしました。見落とすよりはいいから……だろうけど。「疑陽性」が増えるわけね。

でも言われた患者は「こわー」ってなるよね。ビビるし。

■検査する人に「ここも見てほしい」とオーダーするのは「あり」
逆に「肝臓や腎臓は気にしても」「子宮は診ていなかった」ことが起きる。
なので、検査前に
「すみませんが、子宮も気になるので診れたら見てください」
と検査技師に「頼む」の手です。

胃カメラでも医師にやる前に「すみません、食道も違和感あるので念入りにお願いします」っていうことが「大事」だそうです。じゃないと「食道は、パッパッで素通り」で「見逃す」こともありうる。

任せたら「気をきかせて食道も念入りにしてくれるだろう」は「ない」ということです。

こうして「複数の検査」「多面的な手法での検査」をして「ほんとうにそうなの?」ってやったほうが……いい。

それは……教訓としてわかりました。

■ほとんどの人が「トラップ」に陥っている
でも、たいていの人は「そのクリニック」「その病院の検査が」「すべて」「そうなんだ」って……思っちゃう。

そんな、そこで「がんです」と言われたら……「そうなのか」「じゃあ、お願いします」になりますよね。

それに厚労省だって「複数の病院をはしごするのはやめましょう」って言っています。だけど、それを信じて現場医師は「ミスもしないしだいじょうぶ」と思い込んだら「かえってダメ」だということです。

■他の病院でも「しらんぷり」で「イチから検査して」結果を比較すること
ということで一番安くて、その割には効率がいい「腹部超音波検査」ですらも「複数の病院で」「前振りなしに」「初めての診察」ということで「しらんぷり」で「検査をしてもらって」「どういう結果を出してくるか?」というアクションが大事です。

そして検討する医師の見解も「そのまま本人のすなおな回答を聞き出して」くることです。

やたら「前の病院でこうだから」と言ってしまうと……「その病院や医師のミスを指摘しないように」「配慮」「そんたく」がモロはたらくからです。

知らんぷりして「この症状は初めてですがどうですか?」って複数の病院で検査をお金かかっても2回、3回やってみたほうがいいよ。

■病名の確定作業が医師も患者も本当に難しいわけ
 そのうえで複数の病院で「病名は●●です」「腫瘍などのサイズは●㎝です」って共通するところまでおさえられたら、初めて「本当の治療方針」が決められるけど、そうでもない「いい加減な検査結果をうのみにして」「間違った治療方針」をとったら目も当てられない不幸のトラップに陥る。

これは「治療方法」でも起きるからね。ある病院では「外科手術しかできない」と言われても別の病院だと「放射線でもいける」となる。とても多い。

なので、みなさんも今回のケースを参考にして、自分が検査して「何か異常で引っかかった場合」「そこの病院だけでなく」「別の病院でも」「ひるまず、知らんぷりして検査をし直して」「複数の病院の結果をつきあわせて」「判断していく」ようにしてください。
(内海君:小市民)