内海新聞のブログ

1996年創刊の我が国最初の電子新聞

1872:楽天のスマホ事業がまずかった理由

 せっかく問題の歯を対処できたかと思ったら、また別の歯も虫歯が痛んできたので、書けなくなる前に読者に「世間の社会問題の本当の意味」を書いておきます。

楽天三木谷の失敗
 楽天の三木谷さんがモバイル事業で大赤字を出し続け、経営にも影響がでて投資家からも「疑問符」がついています。

もし、三木谷さんが私を最高顧問にでもして指南を受けていたら……こういう失態はなかったと思います。

残念。これが「内海君と出会えるか?」「内海君を顧問にしてちゃんと高額の顧問料でも払って囲っておけるか」の「違い」です。

彼の考えは「ソフトバンクもやれたし」「スマホ事業はNTTやAuみたいに一度アンテナ構築すれば毎月ユーザーからの定額のお金が入る自動販売機だ」「うまい事業だ」
……そんなところでしょうね。

なんか、そういう思考のレベルで「三木谷さんも中小企業のオッチャンの域を出ないんだな」と見抜いちゃいます。

まあ、そんなものですよね。みんなスタートは中小企業ですから。私もそうでしたから。

ただ、もともとそのAuやソフトバンクをライバルにしていたNTTにいた自分からすると

「そんな甘いものじゃないよ」
「しろうとが思い付きで参入したらいい事業ではない」
とわかってるので。できそうでも「やらんほうがいいだろうね」というのが「解」です。

つまり、三木谷さんは「モバイル事業をする」という入口を選んだ時点で経営判断を「間違った」ということです。

あとは「こうなるだろうな」……という「破滅の道」が見えるだけです。

■三木谷さんはスマホ事業が何かをまるでわかっていなかった
 私は、天下のNTTコミュニケーションズの最強法人営業部隊にいました。日比谷本社です。役職も持っていました。

 NTTコミュニケーションズは巨大なNTTグループの中で「商社」の役目を担っていました。NTTは通信業と……思っている人が世間は多いのですが、実際は「コングロマリット」です。巨大な資本、文系から理工系まであらゆる部隊を擁したスゲー組織です。

 そして、日本政府から警察や自衛隊、大手マスコミ、大企業……全部の回線とITシステムインフラを握っています。

それゆえ、政府が株を持っているし、総務省のやる政策も、あんな総務省の連中は理科系も技術もまるでわからない……人たちなので、実質はNTTが「描いて」やっています。

総務省シンクタンクとして裏で機能しているのがNTTグループです。企業単独でノーベル賞級の研究をするNTT研究所を擁しています。NTT研究所の年間予算は1000億円ぐらいあります。キャッシュです。

三木谷や孫みたいに「ローン」は組む必要がないです。それだけ潤沢な財務基盤を持っています。

そして、自民や野党の政治家の息子さんが社員でいます。政治力もあります。
左翼にも強力なNTT労組があり、野党も強力に支配しています。
え?玉木や枝野です。彼らもNTTには足向けて寝れません。

経営中枢(NTT持株。コーポレート)は東大法・経で占め、技術としての実働部隊は東大工学部です。

NTTの下請けが、富士通、NEC、パナソニック。他には沖電気とかいろいろあるけど……まあ、そういうところです。

私がバトルしていたのは「本来下請けであるはずの」富士通やNECでした。彼らは強いです。自分は彼らに勝つためにNTTグループの企業のすべてにコネクトできそのパワーを動員できました。
NTT東西、ドコモ、データ……

そういう自分からすると、ライバル大手のAu、ソフトバンク……がどう映っていたかというと「がんばるけど無理だろね」ということでした。

■携帯電話やスマホは「無線」ではない
 みなさん、三木谷さんも勘違いしている基本認識が「いわゆる携帯電話、スマホというのは無線ではない」という事実です。

え?「基地局アンテナがあるよ」「無線でしょ?」

はい。「見えている部分は」「無線」です。

答え言おうか。今の携帯電話やスマホって「巨大な家庭用ワイヤレス電話」なんです。

今はないかもしれませんが、家の電話で「室内無線の子機」で話せるものがありますよね。あれ、根っこはNTTの有線電話で、室内の機械で無線で電波出して子機がトランシーバーみたいになって話せるものです。

あれが……「町全体」でやっているのが……今の携帯電話、スマホの世界です。

つまり、日本のスマホは町の至る所に立っている「基地局アンテナ」までは「無線」なんですけど、そのアンテナの下からは「有線電話」なのです。

そして、その有線電話の回線はNTTの光ファイバーです。

■宿敵Auはどうよ?
 そうなると、読者には「NTTの対抗馬の巨人はAu」と思うわけです。うん「イメージでは」

でも、私の認識では「AuもNTTにはまるで勝てていない」のが、多分2023年の現在でも……同じかなと。

どこでわかるかというと災害対応です。地震、台風でスマホ通話・通信が途絶えますよね?その際、キャリアダイバーシティ(複数のキャリアを持つことで、A社が止まってもB社で代替わりできる)が……一般人は「できるんでしょ?」と思うわけです。

実は、私はそのシステム構築もしていました。だから、当然NTTが止まったら、Auやソフトバンクが使える……と。

でも、ここ数年の地震・台風でどうですか?Auとかソフトバンクのほうが止まっていませんか?なぜ?

結局、彼らもNTT回線を利用しているので、根幹のNTTが止まったら「終わる」んです。ということで、AuはNTTがダメなときはやっぱダメ。
なので、私もAuを代替え手段には使えないと判断しました。ソフトバンクは……もっとダメだあ。結局非常時強いのはドコモです。

少しだけ教えておくと、災害時に意外と使えるのは「不人気なキャリア」です。みんないないんで……スカスカ。はははは。でも、会社ごと消滅するかもな。

そのAuって、もともとNTTに対抗すべくKDDとトヨタや京セラとか商社が集まって大資本を投下してつくった組織ですが、もともと基盤にしたKDD(国際電信電話)はNTTと同じく政府の肝になる企業ですけど「日本国外の海底ケーブル」で「外国のライン」しか持っていませんでした。つまり、大手だけど国内の通信はNTTなのでまるで……勝てなかった。

で、トヨタや京セラ、商社らは「あくせく打倒NTT」で「地上回線」を引こうとした……ところが「思っているほど簡単ではなかった」現実に直面したと思います。

なぜなら、地上に有線ケーブルをはわすのは、しかも日本全国の集落に網の目に張るのは……「連中が考えている資本力ではまるでムリ」だからです。

「日本の土地のほとんどが私有地」「地主に許可をもらって電線を引く」「電柱に引きたくても権利を持っているのは東電、電力会社」……ということで。

あー、Auの前進のKDDIには東京電力とかも入っていたのかな?うん、それで東電は管内くまなく「電柱」「電線」持っているので、そこに「一緒にくっつければ」「全国網ができる」……と画策もしたと思います。

そうやって「打倒NTT」で期待されて、リングに上がってきたのが確か東京電力でした。しかも悪あがきで当時のソフトバンクの孫と組んで……「スピードネット」とかいって、インターネット回線販売をやってきた。NTTのフレッツ光に勝てると……シェア奪えると……。

私は「お手並み拝見」と思ってみていた。でも、うちらが「どうこう言う」必要はなかった。数年もしないで「勝手に自滅」「清算」してしまった。

そう……簡単に見えた「インターネット回線事業」すら彼らには手が負えなかった。

で、今のAuも結局は、基本的な「幹線」は自分の光ファイバーでできるけど、全部は無理だと思います。するとそれは「自動的にNTT東西の光ファイバー回線を」「貸してちょ」になる。

つまり、NTTからすればAuがリングで戦ってくるその「マットの床」は「NTT製」なんで。そのー、なんというか「自分が貸した道具で」「練習試合」しているような……ものなんです。

ソフトバンクは?
 で「打倒NTT」で、殴りこんできたソフトバンクの孫ですけど、まあ、彼の「本質」を知る人、そうですね、経済人、一流企業、MBAぐらいとったエリートビジネスマンだと私がいう「本質」は「わかるよ」「うんうん、そうだね」となるけど、多分、一般人は知らないので「孫さんはビジネス界の風雲児」とか「勘違い」するんだよね。

本質分かってる人は……「孫……あー、ダメだね」で終わりです。

分からない人は孫を神格化する。

え?NTTの社長室にいるのは誰ですか?東大法学部・経済学部だよ。

その友達は誰ですか?総務省事務次官、東大閥の自民党閣僚政治家たち。自民党の有力議員たち。

そこに孫は「攻撃」してるんでしょ?勝てるわけないんですよ。だから、実際には勝ってない。でも孫は「勝った」と言わないと投資家から殺される。だから「勝ってます」というしかない。

それが……孫の「本質」です。わかった?意味?
わからなかったら……いいよ。そのうちわかるから。

で、ソフトバンクスマホアンテナは「ひーひー」言って、バカみたいな投資をして建てたわけですけどその下はNTTです。NTTに回線の使用料を払う。だからソフトバンクはいくら「馬車馬のように働いても」「利益はNTTにコバンザメで吸い取られる」わけです。アホみたいな話なんです。

だから、ソフトバンクの携帯・スマホ事業はもともと「NTTドコモの」「OEM」だった。機種もNTTコンパチ。

で、これは何を意味していたかというと、NTTのピラミッドの頂点の大手町のヘッドは「孫さんどこまでがんばれるかね?」なわけです。

で、東大閥ですから情報も全部集まってるんで……最初言ったと思うけど、総務省の政策から日本のITインフラのビジョン、方向性、ベース……全部握ってるんで。

孫は「NTTの掌(てのひら)で遊ぶ孫悟空」でしかないんです。

なんで「孫が倒れたときどうする?」って、もう「プログラム」が「シミュレーションされて」「机の上に置いて、起動を待つ」レベルなんです。彼が動き出してからずっとそれは存在している。

そうやって、いつバンクがぶっとぶか……待ち構えている。そういうことなの。

わかってますよ。どこらへんでヤバいかとか……それがわかるのが「東大閥」なんです。

■三木谷さんの「ポカ」
 で、こういう「本質的なベース」「バックグラウンド」を理解していたら、いかにこうしたスマホ事業を三木谷さんレベルのその辺の「成り上がり」がやったとこで「うまくいくわけがない」ことが……わかると思います。

つまり経営判断として「空想として思うのはいいけど」「マジでやるとか」「事業計画に入れることすら」「やめておけ」という話です。

みなさんも商売や事業をしようとするとき「できそうだ」「俺でもいける」と思い込むこと……多いですよね?

簡単そう……でも、そのほとんどが「実はこういう難しさがあって」「できないんだ」なのです。

私は、大手企業の経営・事業戦略、社長の「ビジネスアイデア」「企画」を「検討する」「提案する」前線にいました。私のする仕事は非常に高度でした。

だって、その辺の経営学部や、会計学校でやるような話ではない。ビジネス本読んで「こうですよ」というレベルでない。

相手は百戦錬磨の「社長」「企業人」です。戦国武将と一緒です。その一挙手の動きで相手を見切って「斬る」戦場です。

そこで私はいかに「社長」「企業人」が「おーっ」「いいね」「やろう」というネタを考えて、提案しなければなりませんでした。

で、やっていたので……正直、三木谷の挙動を見るだけで「あー」「だめだ」ってわかるわけです。

三木谷さんの本質ってなんですか?「楽天」ですよね。で、その楽天ってなんですか?「ソフトウェア上で動く」「実態がないビジネス」ですよね。

NTTは強大な工兵部隊を持っています。その下請け業者で動くのが上場企業メーカーです。

楽天はNTTと同じように工兵部隊をハンドリングして、全国津々浦々、365日24時間のメンテナンス保守をやっていけるだけの財務力、態勢をもった会社でしょうか?さらにIBMとかと同じく基礎研究にも力をいれてベースとなる新技術の研究開発・イノベーションをしているでしょうか?してないですよね。

サーバー上の「仮想空間」でECコマースするだけで成りあがってきた会社ですよね。
それが、本質であり、本業、ビジネスモデルです。イオンやデパートみたいにリアル店舗で売ってきた会社ではない。

なのに、ちょっとうまくいったんで売上数千億、数兆円になったから、NTTを食える……と思うのは……「甘すぎる」のでなく「ヤバすぎる」「幻想」なんです。

でも、ああいう中小企業の成り上がり系のビジネスマン、経営者ほど「自分に酔ってしまう」これは、日本電産の永守もそうでしたが……勘違いする場面が必ずある。

その時、参謀や番頭たる副社長が「ダメだよ」って言えれば……「間違いは止まる」けど、えてして、そういう会社って「ワンマン」じゃないですか?

「帝国」ですよね。プーチンですよね?
だから、判断を誤る。

もし、三木谷さんが私を社長室顧問にでもして「楽天モバイルできるかな?」って「思った」とき、私に気軽に「これどう思う?」って言っていたら……私はここに書いた話をしたでしょうから……彼は気づいて本業に専念して今の悲劇は起きなかったでしょう。

以前、私が若いころ(20代)、経産省セミナーに行ったことがあります。ベンチャー企業アントレプレナーを日本から生もうと……アメリカのベンチャー界の大物も呼びました。

そこで経産省の課長らが「えー、日本のベンチャーの代表として楽天マネックスを押し訪米し連れてプレゼンさせましたが、アメリカでは「こんなのが、ベンチャーなんですか?」ということで不評でした。」

と……のっけから「ボロ負け」状態でした。

つまり、アメリカではアップルやマイクロソフト、デルのような「若者が創造的な仕事」「アイデア」で「それをネタにしてスタートアップしてビッグになる」というのがベンチャー企業というわけなんですけど、日本は寒いもので楽天マネックスも「アメリカの二番煎じ」「別に独創的でもない」

そういう位置づけだったのです。これは堀江のライブドア、彼の展開しているビジネスも同じです。

その辺が……見抜けずに「楽天すげー」とかいう人……頭が悪いですよね。

ま、巨大な企業にはなりましたけど。楽天も。でも、アマゾンに勝てないですよね。まるで。

アマゾンのハイレベルのシステム構築、アプリケーション開発力、ロジスティックスまでトータルでシステム化する力……楽天にはないです。

それが三木谷さんの限界。でも、勘違いして「スマホ事業」をやってしまった。

結果として「本来の自分のビジネスはないがしろ」になり「いつのまにか全部沈み」だした。

企業って、気を抜いたらあっというまにつぶれるんです。

社長が銀座のホステス、愛人に入れ込んだら……つぶれるんです。
それぐらい、戦国時代、24時間365日寝ていられない……世界。

パナソニックがあそこまで醜態さらして沈没したのも、社長が愛人に入れ込んでいたからです。

昔父に言われた。
「会社って、中小企業でも、大企業でも本質は同じだよ」
「銀行通帳みてみ。あの通帳、小さい会社も大企業も同じだよ。同じ通帳でお金を出し入れしているんだ。面白いだろ。」
……なので経営の本質は……小さかろうが、大きかろうが変わらない。

むしろ、中小企業の社長になって一人で切り盛りする方が……はるかに大変・高度な能力がいる。

あと、三木谷さんがスマホ事業無理なのは、彼の「バックグラウンド」にもあります。

私はビジネス、経営指南、分析をする際、常に相談してくる人に言うのが
「つき合う相手の家柄、学歴、生まれ育ち、宗教、社会思想(右翼・左翼)、人脈を全部知りなさい」
「そうやって、そいつがどんな人間か見抜きなさい」
「そのバックグラウンド、パワーバランスを知らないで取引やビジネスで組むと大変なことになる」

……こんなの大学の経営学講座で教えるわけないです。ホンネの話だからね。

三木谷さん、どこの宗教でしたっけ?
何とか学会じゃなかったけ?

で、NTTグループとか総務省自民党根幹って……どういう宗教ですか?
どういう社会思想ですか?

無宗教ですか?共産党ですか?わからない?
フリーメイソン?なんだ?
ロスチャイルドか?ロックフェラーか?

うーん。その辺……理解してやったのかな?

大事なんだけどね。

(内海君:小市民)