内海新聞のブログ

1996年創刊の我が国最初の電子新聞

1898:はめられた日本

 日本が第二次大戦で対米戦争をした理由は満州利権など「経済的な問題」でした。

そして、日本がそうなった原因のひとつに「恐慌」がありました。対米戦争をするまでの日本は3度の恐慌に見舞われました。

1つは「第一次世界大戦の戦後恐慌」1920年
2つは「関東大震災での震災恐慌」1923年
3つは「昭和恐慌」1929年

このあと日本は経済的に行き詰まり対米戦争に向かうことになります。
そして、調べていると「これ、今の日本の現状とそっくりじゃん」と思う点もあり、それゆえ「第三次世界大戦は来るわな」と思いました。

■日本のキモは「輸出」
 日本が経済的に国際社会で生きていくために必要なのは「海外への輸出」です。これができないと経済的には成り立たない。

この当時の日本は工業製品での輸出力はまだなく「生糸」などの繊維業などで外貨を稼ぐしかありませんでした。

でも、ヨーロッパで起きた第一次世界大戦で日本は戦争当事者でなかったので、経済的に強かったヨーロッパ諸国を出し抜いて貿易で稼げました。

でも、大戦が終わるとヨーロッパ諸国が経済活動を再開したことで、国際競争力がなかった日本の製品は海外で売れなくなり「あぶく銭」で稼いでいた日本の企業群は一気に倒産しました。

これで起きたのが「戦後恐慌」です。この際、政府は「倒産しないように」「銀行の融資」などで救済を図ったわけですが、今度は地方の銀行(地銀)が耐えきれなくて倒れだしました。

地銀がつぶれまくった結果、市民の預金は三井、住友、三菱、安田……などの「安心の財閥のメガバンク」に行くので、財閥は焼け太りしてますます大きくなりました。

そうこうしているうちに3年後、関東大震災が起きてしまい焼け野原。企業も工場も経済活動できなくなり、また倒産の嵐。

これを救済しようと政府は「震災手形」という形で、企業の債務を肩代わりして「延命」を図ります。

……これって、ここ数年のコロナ騒動で政府が行った「ゼロゼロ融資」みたいなものです。

現場の店、中小企業の資金繰りを助けようと……「本来は資本主義社会で自然淘汰されるべき経営努力をしていない店や企業」も……一律救済しました。

結果として、当時何が起きたかというと「救済対象でない、悪意の企業の偽装融資」が横行しました。いわゆる「ゾンビ企業」です。

本来、自由主義とか資本主義社会では「自己責任」で店や企業をすべきで、経営がうまい下手は「やる人の責任」なわけです。

なのに「経営がちゃんとできない」「商売が下手」な店や企業を国や地方自治体が「援助」するのは……本筋から離れているし、やってはいけないのですが、そうしたら圧倒的多数の店や企業がつぶれてしまい「逆に税収源がなくなる」という「シュリンク経済」になるので……「助けましょう」ということです。

でも……正しいのでしょうか?

私は、コロナ騒動の2020年に「今年の5月以降もこの状態は続くから、懸命なのはここで見切りをつけて、店をたたみ、清算しちゃったほうが利口」と言いました。

自営業、店を張る人には……決断しづらい、感覚ですが……でも、たいていの自営業者、中小企業の人は「まだいける」「お金借りてしのごう」……そういう発想になるものです。

でも、そういう「思い」「感情的な判断」……がすでに間違っていて。

すみませんね。私もなんか、機械的な言い方で自分でも言いづらいけど……でも、経営の本質からすると「ダメなら早く見切りをつけて閉めるのが正しい」

これって、トレードや投資で言うと
損切りは早く」
の株の格言……そのものなんです。

ちなみに、株やトレードでは「10%の損失が出た時点で、機械的損切りして、やり直す」……が「最も経験則上で正しい判断」なんです。

事実、外資や敏腕トレーダーらの挙動はそうです。そして、やっぱり正しい。

早く間違いを認めて「方針や方法の転換」をやれるか……そのほうが、あとあと……利益がちゃんと前以上に増えてトータルで「勝つ」からです。

ダメなのは「まだいける」「もうちょっと」……みたいに、ズルズル引きずる。「塩漬け」とかやることです。

つまり「結果が赤字」「結果がダメ」な時点で「もうダメ」なのに、そこに、政府や自治体が「情けでお金」をつぎ込む行為は「より一層事態をダメにする」だけだという……のが「本質」なんです。

■救済策の震災手形が「かえって経済恐慌の原因」になった
 さて、未曽有の大震災の関東大震災で、政府・日銀は「支払ができない店や企業の手形(当時は約束手形が多かった)を代わりに引き受け」「支払サイトジャンプ」を支援しました。

一見……いいこと、店や中業企業側からすると「助かった」……と。

でも、どうでしょうか?そもそも「払う約束のものが払えない」時点で「資金繰りが甘かった」「内部留保をちゃんとして備えていなかった」……その経営者の「経営がへたくそ」なだけだと……冷たい言い方だけど……なっちゃうんです。

その「感情」「熱い思い」……世間はそうだよね。「人情」とか。

だけど、経営の世界では「ダメ」なんです。そんな感情で経営する人は「会社をダメにする」ことが「100%」なんです。

こういうと、私が「感情抜きで、論理的、冷静、冷徹に経営ができるみずがめ座」の人が「経営者には向いている」という「意味」が分かると思います。

残念ですが政府・日銀の「情け」と関係なく、商売人たちは「不正」に走りました。
努力しない人に「情け」をかけても「ダメ」なのだという……本質です。

困ってもいないのに、手形のジャンプを政府・日銀に「させました」

これ、今のコロナでのゼロゼロ融資で不正横行、コロナ助成金補助金詐欺が横行したのとまったく同じ……状況でした。

結果として政府の貴重なお金=国民の税金は……心が汚い商売人らの遊び金に消えました。

■そして、日本は金本位制で失敗した
 2度の恐慌で日本政府・日銀が考えたのは「とにかく輸出をなんとか復活して増やして国内輸出企業の収益を上げる」ことでした。

……なんか、今の日本政府がやろうとしていることと同じ気がしてきた。要は、上でやる政策っていたってシンプルなんです。

いっぽうで、欧米ではイギリスを中心に「通貨の金本位制」が進んでいました。これは1万円=1金の延べ棒みたいに……金(ゴールド)と貨幣の価値を同じにするやり方です。

今の変動為替相場ではなく、金という金属が世界不変?の価値のものになり、そこに各国が自分の貨幣の価値を金の延べ棒に合わせるので「為替変動がなく」安定した貿易ができます。

ただ、国家としては「紙切れの紙幣を大量に刷って、ごまかす」テクニックが使えなくなります。

金本位制だと、貿易の代金は国同士では常に実物の金の延べ棒のやりとりで行われるので、輸出すると相手国から金の延べ棒が貿易で売った分もらえますが、逆に輸入だと自分のところにある金の延べ棒を相手に渡すので自国内の金は減ります。

……そういうリスクがあります。

当時日銀総裁財務大臣を歴任していた日本の財政のドン井上準之助は欧米の金本位制に日本も参加しようとしました。

ただ、参加する際、日本の円が金の延べ棒どれぐらいの「価値」か決めて言わないといけません。

輸出を増やすなら「円安」に設定して、欧米に言えばいい。

だけど、井上は「わざと円高」に設定して発表しました。なぜ?

日本を円高にしたら、海外から借りていた「国債などの債務」が「減らせる」からです。当時の日本政府は「発展途上国」であり「欧米からの借金」で生きていました。

今のアフリカ・アジア諸国と一緒です。

なので、自国の外国からの借金価値を減らすには「円高」にしておいたほうが有利です。井上の「策」はうまくいくように見えました。

ロスチャイルドから金を借りて戦争していた日本政府
 そして情けない話なのですが日露戦争大日本帝国海軍はロシアのバルチック艦隊を破った……と、賞賛する人、右翼にも多いんですが。

あれ、そもそも当時の帝国海軍には「戦艦すら」「満足に」ありませんでした。その軍事兵器の調達資金を当時の政府は出すことすらできませんでした。

そのため、金策高橋是清らが外国に借りに回ったのです。だけど、当時の日本は「途上国」なので、信用がなくどこも貸してくれませんでした。

でも、貸してくれた人がいました。それがロスチャイルド家です。
アメリカのロスチャイルド家から借りたお金で、日本政府は軍艦を買うことができ、バルチック艦隊を破れました。

ただ、ロスチャイルドはそんな慈善事業家ではありません。「もし、日本がロシアに負けたらどうする?」と聞かれたら
「そのときは、アメリカ軍を出して日本自体を占領する」
と、決めていたそうです。ペリーの黒船がもう1回日本に「取り立て」に来る予定でした。

こわいですね。ま、日本政府が勝てたからよかったけど。

だけど、日本はあの時、ロシアに戦争では勝てたけど、ロシアから欲しかった「賠償金」の「お金」をもらうことはできませんでした。

なので、ロスチャイルドへの莫大な借金は……残ったわけです。

これを返すため「満州利権や中国侵略」の「無理」をしていくはめになったわけです。

サウジのファンドで金を調達して死にそうになっているソフトバンクの孫と……まったく似た構図(あれも裏でロスチャイルドがいるんだろうけど)

日本政府自体が……はまっていたわけです。

■でも、甘かった
 ところが日本政府・日銀がようやく金本位制を宣言しようとしていた矢先、1929年……世界恐慌が起きてしまいました。ニューヨークの株式市場の暴落ですね。「だいじょうぶだろう」という日本政府や日銀の「楽観」は外れ、世界中の相場の暴落が起きました。

けれど、日本政府は「円高のまま金本位制」を宣言しちゃいました。当時の日本は、生糸を中国などから輸入して加工し製品にしてアメリカやヨーロッパに輸出して稼いでいました。

なので原材料輸入する点では円高だといいのですけど、輸出する時点では不利ですね。こうして日本の企業が生産して欧米に輸出すればするほど「金の延べ棒」が欧米に渡って、日本国内の金の延べ棒が枯渇する……という恐ろしい事態になったのです。

そもそも、自分が持っているだけの金の延べ棒分だけしか、通貨・紙幣も発行できないのが「金本位制」なので、これはかなり致命的なことになりました。

■儲かったのは?
 ここで、当時金本位制をやっていた国がどこか?
イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアでした。

あれ?気づくことありませんか?ヒント教えますね。

まず、この当時も今も「世界の金の値段」を決めているのは「イギリス」のロンドン・シティと呼ばれる経済街であり、当時その価格を決めていたのは「イギリスのロスチャイルド家」でした。

陰謀論でもなく経済社会で普通に勉強する人なら「当たり前の知識」です。

世界の金相場の値段を毎朝、会議して決めているのは「イギリス・ロンドン」の「シティ」の「ロスチャイルド」です。「シティ」はイギリスのロンドンの金融街。日本の株の町の兜町みたいなものです。

というと「世界の金融経済を決めているのはアメリカじゃないの?」と言うんですけど、違うんですよね。

イギリスの世界経済での存在理由は「世界の金融相場を牛耳っている」ことです。これが、EUから独立してもいいや……という根拠になる。

保険業界では「保険会社の保険」を引き受けるロイズ保険もイギリスの「シティ」ですよね。

そして、ロスチャイルドの本拠地ってどこでしたっけ?
ロスチャイルド家は「5つの矢」が家紋で、5つの国に展開して家がありました。(今もあるのかな?)

それは、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアでした。

わかりました?欧米で「金本位制度やるぞ」と言ってやっていた国っていずれも「ロスチャイルドファミリー」の国なんです。

そこに……日本が「参加」したら……どうなったわけですか?

結果として日本は自国の金の延べ棒をこれらの国に……「抜かれ」ました。

で、その国を支配しているのは誰かというと「ロスチャイルド家」でした。

すごい巧妙で狡猾で天才的なトリック(テクニック)で大日本帝国政府は金塊を合法的に奪われたのです。

これが世界の富豪や政治家が恐怖する「ロスチャイルドのテクニック」です。

私には……そう見えました。違ってるかな?

■経済恐慌をどうやって切り抜けたか?
 この時、財務大臣をしていたのがあの高橋是清(たかはし これきよ)でした。彼は「店や企業の支払いを免除」とか「紙幣を大量発行して」当面の危機を切り抜けました。

さらに「地方の公共事業を増やし」「地方にダムなど多数つくらせ」「地元農民を動員して給料が出るように」しました。

ニューディール政策ですね。おかげで、切り抜けられたのでした。でも……

■昭和恐慌で5.15事件、2.26事件が起きた
 この昭和恐慌で地方の農村では「農作物が売れず」「なのに豊作だったり」「野菜価格暴落」で農家が経営困難に陥りました。

結果として農村の家では「娘を売春婦として大都市・東京に売り飛ばす」という恐ろしい光景が続出しました。

親が自分の娘に「体売って稼いでくれ」と頼む……信じられない時代でした。

この光景を見ていた陸海軍の正義感燃える若い将校たちは「激しい怒り」「こんな不条理許せない」となりました。

「誰がこんな目にあわせた」……彼らは思いました。
「それは三井、住友、三菱ら財閥のせいだ」
「財閥が富を握り陸軍を支配し、政府と官庁と結託しているからだ」

……うーん。なんか、彼らを私も悪く言えない気がしちゃうんだよね。事実だから。

ちなみに「財閥が富を握り陸軍を支配し、政府と官庁と結託しているからだ」
この構図……2023年の今の日本でも「あんま変わらない」です。

……また若い人のやる気なくすな……でも事実だからしょうがない。

そして彼らはクーデターを起こし首相や軍幹部の暗殺をしたわけです。これが海軍や、陸軍の皇道派将校によって起きたクーデター事件、1932年の「5.15事件」、1936年の「2.26事件」でした。

■日本は経済発展を海外侵略・植民地政策で逃げようとした
 日本が国際経済社会でやっていくためには「輸出」で稼ぐしかない……この根本ベースを改善するために、当時の政財界が考えたのが

「海外の外国に進出する」ことでした。

今と……変わらないような……。発想。

それで、彼らが目をつけたのが「満州」であり「中国」でした。

「中国から原材料を買うのでなく、中国自体を日本のものにして、自分たちの原材料として加工して欧米に輸出したほうが儲かるし、合理的ではないか」

……こう考えたわけです。これが、日本が軍を使って満州や中国を戦争で奪い取っていく……原動力となりました。

その手掛かりとなって、大日本帝国の経済に大きく貢献したのが満州利権でした。

満州利権が一気に拡大スタートするのが、満州事変。1931年でした。
昭和恐慌の2年後なんです。

いかに、この「プロジェクト」が、日本政府・政財界・軍部にとって「大儲け」するためのプロジェクトだったか……わかりますよね。

そして、それがうまくいくなら「いいかな?」って認めてしまった昭和天皇、皇族たちも「まずかった」と思います。

しかし、こうして眺めてみると「日本政府、幼稚だったな」「頭よさそうでやっぱ、ロスチャイルドらには到底及ばないわ」

ロスチャイルドすげーわ」「彼らと戦ったらダメだわ」と
痛感します。

さて、こうなると
「戦争は国家の経済問題の最終解決法」
とも言え、イヤな気分になります。

でも、あれから100年近くたち、再び今後もそうなるかもと思いました。

(内海君:小市民)