内海新聞のブログ

1996年創刊の我が国最初の電子新聞

2098:指のケガで気づかされたこと

 しばらくブログとかなかったのでどうした?と思われたでしょう。ケガして治療中だったのです。段ボール箱を解体していたらカッターがすべって指をざっくり切りました。危うく指が落ちるところでした。

■指さし点検
 私の場合、家のリフォームや修繕、自分でやっていますし、農作業やDIY作業も自分でしないといけないので、結局毎日ワークマンの作業服着て手袋して作業しています。

特に感染症、今は狭心症でいつ死ぬかわからない身なので「お迎えまでの暇つぶし」「気晴らし」で作業をしている時が一番気が和みます。

だけど、DIY作業というのは「完全自己責任」なので、誰かが見守って管理してくれるわけではないし、指導者もいるわけないです。

全部自分でやらないといけない。計画もスケジュールも資材調達も実施も……。

それゆえ「安全管理」も大変になります。

若い時、私は羽田空港でJALの機内清掃のアルバイトをしていたことがあります。大変でしたが、毎日、あの華やかな空港に通って日本で一流のJALの旅客機のほとんどに乗り込んで深夜まで何機もの座席の清掃をしていました。

その際、たたき込まれ、教訓になってよかったのが「安全管理」でした。

実は、空港では「交通事故」が多いのです。え?そうなんです。あの広い滑走路を縦横無尽に作業の車や荷物を牽引する車両が走り回っているのだけど「信号や」「白線」「横断歩道」なんかないので、運転ミスや周囲確認のミスで「衝突事故」が多発するのです。

それから、高さが10m近い飛行機にリフトで上がって機内に清掃機具を搬入したり、ゴミを搬出したりするわけで「転落事故」もあります。

人が大ケガし死にます。

その職場で常に張り紙されていたのが
■■■■■■■
「指さし点検」
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でした。

車で移動する際も、一時停止して「左よし」「右よし」って運転手や助手の人も「アホみたいに」「指で」「明示的に」「声を出して」「左右確認をわざわざしてから」「動く」

これが……徹底されました。毎日やるので、私も自然と自分の作業や、外出時の「忘れ物」「ドアの開け閉め」でも「指さし」「声だし」するようになったのです。

電車の車掌さん……みたいですよね(笑)

だけど、この「バカっぽい」指さし点検……すごく大事だし、自分の命、身を守るのです。

「頭ではわかっていても」「実際の現場では、手順のひとつを忘れていたり」「それがゆえ」「大爆発」「大事故」が起きるのです。

これは、化学プラント、火や劇薬を取り扱う現場……全部で通用する手法でした。

なので、私は日々の生活でも「鍵よし」「窓よし」って自分で指さして、声を出して明示的にやるようにしました。

今、陸自や海自、アメリカ軍の演習を動画で見ていても、イージス艦や潜水艦でもこうした「指さし」「声だし」「プロセスの明示的な伝達」「確認」は「基本中の基本」でやっていますよね。

それ……民間でも日々のあなたの作業や会社の事務や、工場での作業でも「やるといい」ですよ。

バカっぽいかもしれないけど、本当に。

あー、料理でもいいかもしれませんね。
「大根よし、ニンジンよし」
「鍋ふたよし」
「火点火!」って各プロセス、動作で「声に出して」「指さし」してやると、ミスや「忘れて抜けていたプロセス」思い出すから。

家庭で作業や料理するときとかも、お子様とお母さんでゲームみたいにやると……いいでしょう。きっと役に立ちます。

■防護器具ははしょらない
 野外で作業する際、これは……災害時のサバイバル生活や、家の復旧作業でも同じですが「自分の体の防護処置」が必要です。

でも、たいていの人は「つい」「普段着のまま」「素足や」「素手で」「作業を始めて」しまいます。

私も最初はそうでした。

でも、結果は「ケガ」「虫に襲われ刺されて腫れまくり」になりました。

「草取りしよう」と、サンダルつっかけ、スニーカーで素手で草を抜いている……でも、首筋に何かついた気がした。

一瞬で、木の上から「けむけむ(チャドクガの幼虫の毛虫)」が「糸でぴゅーんと降りてきて」「首や」「背中」に落ちて「手で払ったら」「首だけでなく」「手も」毛で刺されて腫れあがる……

皮膚科にかけこんで、強力なステロイド剤軟膏を塗るけど全治何日もかかりました。

それ以来、外で数十秒の作業をする際でも必ず「ナイロン製のフード付きのウインドーブレーカー」「手は必ずワークグローブ」「靴下まわりから肌の露出はしない」そこまで準備してから、外に出る。

面倒です。だけど、つい「手抜き」「はしょった」時、事故って必ず起きるんです。

JCO臨界事故もそうでしたね。恐ろしい放射能事故でしたが、あれも通常の作業手順では危険な六フッ化ウランの粉を臨界にならないぎりぎりの量を毎回計って薬剤を混ぜる……作業があったのですが

「少しずつ混ぜて」「また同じ作業を繰り返すの面倒くさい」と「全部入れて混ぜちまえ」って、つい「手抜き」したら……「臨界」を起こして……一瞬でチェレンコフ光の青い光が出て作業員2名は10シーベルト以上の放射線直撃を受け「焼け溶けて死亡」しました。

おまけに、制御不能のウランの臨界反応で地球の裏まで中性子線が放出されました。誰も近づけない状態になりました。

ということで「くだらないように見える防護手順」「面倒な防護手順」は「どんな場面でも抜かない」こと……これを「死守」することがとても大事なのだと。

■事故は一瞬で起きる
 さて、そういう自分も、この日は段ボール箱をカッターで切る作業をしていたのですが「手袋つけていると」「細かい動きがしづらい」とつい脱いで、カッターで段ボールを切りました。油断した。

そもそも段ボールを切るのに普通の人は素手でやっているよね?

「ちくしょー、切れないな」って力を入れて切ったら、カッターが思いもよらぬ動きでスパーンと動いたのですね。
そして、指を一緒に切ってしまった。

「あー」
日本刀で切られたら「一瞬痛い」で、自分がどうなったかわからないと言いますけど……同じ。

「切れちゃった」と思ったら、血が出ている。
「止めないと」
「とっさに、ちり紙を出して抑える」
「止まった」
私は家に入って、サバイバル用に常備している救急箱を探そうと歩きだしました。
でも目の前で「血がぽたぽた」落ちてしずくになっている。
「あれ?」
私は指を見ました。大量の出血が起きていました。たちまち、床に血の海が広がりました。
「うわー」
救急箱があっても到達できない。再度ちり紙で押さえるけど、血が止まらない。
おそるおそる傷口を開くと「数センチ裂けて」いました。
「指がパッカーンって裂けてる」
「これ?もはや自助努力ではダメなのか」
その時、以前整形外科でケガしたとき医師に言われた言葉が思い出されました。
「包丁とかで切った場合ですけど、深さが2㎝超えていたら、破傷風などの感染症が後日リスクとしてあるので、ためらわず病院駆け込んで対応してもらってください」

私は、時計をみました。整形外科がまだあいている。とっさに血だらけの手で現場を片付けて車を運転して整形外科に駆け込みました。

でも、「これぐらい」「自分でなんとかなる」……ってたいていの人は「判断ミス」をするのです。

私は臆病で神経質だったでしょうか?いえ……正しかったのです。

■整形外科
 整形外科に駆け付ける。診察券も出せない。でも、毎日けが人を処理しているので受付も看護師も手慣れていました。
「どうしました」
「指をケガしました」
血だらけの手を見て受付の女性は
「だいじょうぶです。そのまま、そこでかけてお待ちください。診察券もいりません。お名前だけ聞かせてください。」
連絡を受けてすぐ看護師が「ビニール袋」を持ってかけつけました。

なるほど!

待合室を汚さないよう、看護師は私の手をビニール袋に入れて
「まず、そのちり紙を外してくれますか?」
私は血で張り付きだしたちり紙をはがしました。
看護師は言いました。
「ちり紙はね、張り付いて取れなくなるから、止血に使っちゃダメなんです。」

ビニール袋の中で処理するので、周囲に血が飛散することもありません。知恵ですね。

それから、看護師は木綿のガーゼで傷口をくるんでくれてそこを押さえるように言いました。

それから医師が診察にきました。慎重にガーゼをむいて、血をぬぐって、傷の「切れ方」を観察しました。

「こっちから切れたんだね」カッターの刃が入って抜けた方向を推理していました。
「今回は糸で縫合しないで、テープで押さえて固定します。多分10日ぐらいはかかるね」

そうして、ばんそうこうみたいなテープを細く切って、指にピンセットでていねいに傷口があかないように貼り込むと包帯をぐるぐる巻きにしました。
「先生、感染する可能性はありますか?」
「あるかもしれないので、毎日きてください。様子をみます。」
それで、毎日傷がふさがるまで通うことになりました。
4~5日経過したころ先生は言いました。
「たぶん感染症の心配はないですね。よかった」

それでも、家に戻ったら、手を使わないと家事が何もできないのですが、一瞬で汚い水がついたりします。なので、ダイソーで料理用の使い捨てのビニール手袋をつけて作業しました。

■プロはちゃんと考えて治療をしている
 私は「なぜばんそうこうでふさいで」「不便な包帯を巻いているのかな?」って思いました。

ある日、作業していたら包帯が「スポンと抜けて」いたのです。
「うあー、まずい」
でも、翌日、病院に行ったら医師は
「だいじょうぶですよ。最初に貼ったばんそうこうがはがれなければいいので。」アルコールでばんそうこうの上を消毒して、また包帯を巻き直してくれました。

看護師は
「他の患者さんもつい、包帯抜けちゃったりする人多いんですが、ばんそうこうが生きているので優秀なほうですよ」
と言ってました。

つまり「病院外で生活している間に包帯が外れるのは想定済み」ということで「ダブルで傷口を防御」して備えていたのです。

この「面倒なひとてま」をかけるのが「プロの仕事」なんだと……。

だけど、PCのキーボードはちゃんとうてないです。だから、治療に専念していました。

■ケガした指は動かした方がいい
 治療の途中で、医師が言いました。
「包帯まいた指は、なるべく動かしてください」
「え?ケガしているのだから安静では?」
「違うんです。このまま固定して動かさないと、どんどん指や関節の筋肉が減退してダメになるんです。リハビリをもう始めてください。」

へえ、そうなんだ。

■武田式でケガの傷の治りも早かった
ケガしてから11日経過しました。
「縫合部分を外します」ということで、ようやくばんそうこうをはがしてくれました。

ところが、私はこの際「これ、治りが早いほうなのだ」と気づきました。というのは、数日前、処置室で同じように手の指をケガした老人の方が手当を受けていたのですが、その方は数日たって包帯外しても「血が止まらない」「幹部が汚い」ままだったのです。先生も困っていました。私は、当日以降で出血は止まっていたのです。

「老化した人、栄養状態が悪い老人は、同じケガの治りがこんなにも遅いのか?」って思ったのです。

「武田式をやっているので、細胞の再生が若い人のように早くなっている」と感じました。

■短期間?で治癒できた
包帯の外れた指は、まだ傷口が残っています。
「先生、これ傷口が開いたりしませんか?」
「いや、もう開かないと思うよ。お風呂も普段通りいいですよ。」
「え?」
私は、傷口をまじまじみました。たしかに切れた線は残っているけど、皮膚が開くことはない状態にふさがっていました。

「はい、治療終了です。」

「いやあ、すごい出血だったのでどうしようかと思いましたよ。」
看護師が言いました。
「手足の指には神経と血がよく集まっているので、ちょっとした傷でもかなり出血するし、思い切り痛いことが多いんですよ。」

「よかった。ありがとうございました。」

■神様は私に「気づき」を与えた
 なんで、こんな時に指をケガしたんだろう。

あの日、帰ってきた妻が床の血だまりを見て言いました。
「ありゃー、部屋がホラーだわ」
「でも、よかったね?」
「何がさ?」
「循環器内科でステント入れなくて。」
「うっ……そうだな。もし、ステント入れていたら、血が止まらない薬を飲んでいるわけだから……出血が止まらなくなって救急車で大騒動になっているよなあ」
「ステント入れないでいて良かった」
「こわいよな。あー、気軽にステント、ステントっていうけど、これ、災害時にケガしたら病院機能していないのだから……どうしようもなくなる。出血止まらなくて死んじゃうよ。」

私はこの時ほど「見えない神の力を」「思い知り」ました。

「きっと、そういうことを気づかせるために、今回ケガをさせたのだ」

■ケガは気づき
「これを教訓にしないといけない。まず、あれだけ準備した救急箱が使えなかった。だって、目の前でどんどん血が出ていて、救急箱に到達できなかった。そして、救急箱があっても開けられない、開けても中の包装されたガーゼや器具類を開けることも両手が使えないのでできない。」

「本当にいるのは、すぐ、止血のガーゼを手元に持っておける体制だな」

私は、ポーチに止血用ガーゼをいつも入れて、とっさにファーストアクションで反射的に止血できるよう装備を組み替えました。

大事な気づきでした。

そして、むやみにステントを入れないほうがいいということも……。

■得られた教訓とプロセス
 では、病院がないときに、こういう思わぬ指や手足のケガをしたらどうすればいいか?プロセスを考えました。

1.まず、ガーゼで傷口をおさえて止血する。ちり紙では基本押さえ続けない。もしちり紙で押さえても、早い段階ではがしてガーゼに切り替えること。数分押さえれば本来は止まる。
(ドロ汚れがあるなら、水道水で流水で洗い流す)

2.傷の深さが2センチ満たないレベルなら、自助努力でばんそうこうして包帯すればいい(ゼリー状の皮膚一体型のばんそうこうは便利)

3.だけど、傷が2センチ超えるような深さのようなら、ためらわず「整形外科」に駆け込む。
破傷風やガス壊疽菌による感染リスクに備える。傷口から侵入の細菌は全身感染になるので「ICU行き」になり死ぬ危険があるため。たかが指のケガだと……タカをくくってはいけない。基本、整形外科医の診断、手当と治療管理がベスト。災害時だと……どうしようもないことになるね。

4.傷口をまずテープなどでふさいで「裂けた部分が開かないように」「固定」して、さらにそこが動かないように包帯でぐるぐる巻きにするのがポイント。さらに、包帯の手指が汚れたり、外れないように「ダイソーのビニール手袋」などで守ると生活や作業でも安心。

外科でも切り傷、手足のケガを担当するのは「整形外科」です。
頭部や内臓の打撲などのケガになると整形外科でなく「各臓器の外科」になるわけです。
(内海君:小市民)