内海新聞のブログ

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小池知事の「夜の街」という言い方の意味


小池都知事、なんで「夜の街」なんて言い方をしたんだろうね?ふつうに「飲食店」といえばいいと……大半の人は思っただろう。でも、そこには深いわけがある。

 

小池知事や「8割オジサン」の西浦教授らが把握していたのは、コロナクラスターが多く出てくるのは新宿歌舞伎町など「繁華街」。キャバクラやホストクラブやスナック、性風俗などの業界だった。なのでクラスターの元凶となるこうした業界を営業停止にしないと感染は止められないという認識になった。それで営業自粛を都市の繁華街に求めることになった。

 

私からすると、カラオケやクラブにせよ……感染は当たり前に起きるが、いっぽうで商店街やモール、スーパーでの「買い物クラスター」もあるので、そちらは「お見逃し」になったのは……矛盾していたけどね。多分「業界の圧力」があるからだ。

 

さて、「営業自粛の要請」を行政が民間企業に行うのであれば、当然「補償」が発生する。

これが北朝鮮や中国のような社会主義国なら「命令は一方的で補償すらなくてもしかたない」となるが(だいたいあっちでは政府に市民が文句言ったら殺される)

日本は法治民主主義国家?なので、いちおう「下からの文句」には「答えないと」自民党公明党政権はもたない。

 

ある意味では健全ではあるが、その時の、歌舞伎町を抱える新宿区長の態度は意外だった。テレビで毎日彼の顔やコメントを見ていたが「苦虫をかみつぶした」「支援や補償なんかしたくない」という表情だった。

 

どうしてか?わかる?

つまり、あの時、今も「いわゆる飲食店」というのは、世間のわかっている人では「=暴力団・マフィア」の領域だからだ。

そういう実態や論理を知らない人は「飲食店は普通の業界だ」と思っているのでよい。

知らぬが仏だ。そのほうがいい。

でも、ちょっと上場企業やビジネスで上のほうにいる人なら当たり前に知っている認識だ。

取り締まる側の警察からしても当たり前。

つまり、小池都知事・新宿区長は本心としては「飲食業界には補償なんかしたくない」「税金で暴力団関係者に補填することになる」……ということ。

 

私が苦笑したのは「あれ?新宿区長は歌舞伎町で遊んでないの?」と思ったよ。

まあ、いくら新宿区長でも歌舞伎町の店に入りびたりでズブズブだったらかえって問題だろうね。

 

なのに、私がもう一つ不思議だったのは、暴力団・マフィアと野党は「もともと犬猿の仲」とくに、共産党や市民系はそうなる。なのに「飲食店に補償を」を言いまくった。

あれでは……おたくらも、敵に塩どころか「ドリンク剤」あげたようなものだ。

そういう……構図や論理もわかってないのなら、左翼も相当バカだね。

 

面白い話なんだが、石原慎太郎が新宿都知事だったとき、彼は思想的には右翼・保守の人間だが「歌舞伎町浄化作戦」といって、それまで横行していた路上のキャッチやスカウトなどを徹底的に取り締まった。いっとき新宿歌舞伎町は恐ろしく静かで「きれいな街」になっていたよ。

 

大阪では、橋下ら大阪維新が大阪の風俗を軒並み取り締まった。以前、堂山というところを通っていたらキャッチのお兄さんがまとわりついて話しかけてきたのでしかたなく「大阪はどういうところですか?」と聞いたら「大阪は橋下の維新のせいで風俗産業が崩壊していて、たいしたもの何もないですよ。あいつのせいでうちら仕事ないです」「あいつら大阪の風俗業界にうらまれてますから」と露骨に言われた。

その橋下は大阪で超有名な売春街「飛田」の顧問弁護士。矛盾しているが。

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橋下徹が顧問の大阪最大の売春街「飛田新地」この通りの長さに度肝を抜かれる

つまり、そういう観点からして行政からすると「いわゆる夜の街=歓楽街=暴力団の温床」なので「補償はしたくない」ということになる。そりゃそうだよね。税金でこれまでさんざん住民を苦しめて排除しようとしていた相手を生かすどころか助けるわけだから。

 

あのあと印象的だったのは、テレビで歌舞伎町のホストクラブがこれまで「新宿区は自分たちを排除している敵」という立場から「協力してコロナを乗り切ろう」と営業自粛をしたことかな。警察と暴力団がある面、共闘でコロナに立ち向かっている。

 

で、言っておきたいのは、ああいうお店で働く人が悪いか?は、悪くないよ。

うちの相談者にもこの業界の人はときおりいますけど、みなさん、お金に困っているから働いているだけなので。その人たちも別に普通の仕事でちゃんと正社員できれば無理してこうした仕事をしなくていい人がほとんどです。

 

では、お店の経営者が悪いか?それもなあ。経営者は言うよ

「利用する人がいるから」「ニーズがあるから」やるので……だったらやるわな。

商売の第一原則は「儲かるか」どうかなので、儲かる以上はやる。

経産省もこのポイントは全く否定できない。

だから転売ヤーを制限できない……間抜けになる。

 

一番悪いのは……行く客だと思う。客が行かなければこうした店はやれないので。

だって、公務員や議員・サラリーマンのオヤジがああいう所に行って遊んでいるわけなので。そもそも「夜の街」って女にモテない、さびしい男性が行くところなので。そういう「もてないかわいそうな男」を減らせばいいだけなんだ。

 

みんなが「健康で文化的な」「夜ふかししない」「酒もタバコも風俗もやらない」「女にもてる男を増やす」生活スタイルをすれば……こうした店はそもそも存在できなくなる。いらない。

 

田舎では、ジジババがバカみたいにカラオケ喫茶に集まっている。田舎ではカラオケボックスでなくて郊外にクルマで集まる「喫茶兼カラオケ店」が多い。

そういうのは……取り締まらず……相変わらずクラスターを生み出している。

 

中途半端なんだよね。あっちを立てるとこっちが立たず……かといって「八方美人」にやると自分のクビがしまる。誰がやっても……ドツボにはまる。それがウイルスパンデミック対応。

岡田晴恵も昨年最初に言っていた「新型インフルでも経験したが、ウイルスの流行対策は何をやっても、どっちの陣営からもボコボコに言われてつぶされる。その圧力に耐える戦い」

ま、そうだろな。

 

ということで、小池都知事が「てめえら歌舞伎町は暴力団の温床だからそこに行政の補助金なんて本当はビタ一文あげられないよ」という本音が言えない……苦し紛れの「芸術的な表現」が

「夜の街」

なんだ。