大事なポイントのもう一つが「アミノ酸」です。アミノ酸と書くとイメージがかえってつかみづらいと思うんです。
むしろ「レゴブロック」そうですね「アミノブロック」としたほうがわかりやすい。
この「アミノブロック」を組み合わせジョイントして人体のあらゆる形を作り上げています。
皮膚、筋肉、骨、内臓、血管、それにホルモンや、サイトカイン、DNAのようなものまで……全部アミノブロックで作られています。
つまりアミノブロックは「生命体の基本構成要素」だということです。
アミノブロックはまさに「文字」であり、人体の各要素は「それで記述されて表現されている文章」と言ってもいいでしょう。
分子生物学のテキストを読んだとき最初に出てくる話がこの「アミノ酸」でした。
■タンパク質
栄養学とか食品で出てくる「タンパク質」……これは実は「アミノ酸によって構築されたもの」なので
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タンパク質=アミノブロックのジョイントでできた宇宙ステーション
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……こうイメージしてください。
つまりタンパク質の肉、魚、チーズ、大豆……あれは
「アミノブロックの集合体」
だということです。
■血液にタンパク質は直接入れられない
それでこのタンパク質は食べても直接血液に入らないです。胃腸でいったん「酸とアルカリ」でジョイントを外して「アミノブロック」をバラバラにし取り込みます。これが「消化・吸収」ということです。
なので血液中には「無数のアミノブロック」が「浮いて流れて」いる状態です。
これが「タンパク質」の各臓器、皮膚、筋肉、骨などを組み上げるため「必要なブロックをジョイントして」使われます。
またホルモン、サイトカイン(抗体)もこれらのアミノブロックを使って作られます。形としては「ドッキング型の宇宙船」みたいな感じです。
その際、ジョイントを円滑にするための「接着剤」として「ビタミン」が使われます。
またアミノブロックを接着したり構築する作業をする工場の工作機械を動かす「燃料」として「糖」が必要となります。
つまりタンパク質による宇宙ステーションの構築には、これら3つの要素「アミノブロック」「ビタミン」「糖」のいずれが欠けても製造できないということです。
ビタミン不足で「皮膚が荒れる」「口内炎になる」……それは、まさに3つの要素のビタミンが不足して皮膚が「アミノブロックで組み上げられない」状態を表しているわけです。
■アミノブロックは「どんどん消耗する」
アミノブロックは全部で20タイプあります。そのうち体内で「自作」できるものが11個。残り9個は自作できないので「食事で外から調達する必要」があります。
この人間が自分で自作できないアミノブロックを「必須アミノ酸」といいます。
逆に、自作できるアミノブロックは「非必須アミノ酸」といいます。
このアミノブロックは常時、体内で「消費」されてしまいます。なので、どうしても「食事で外から調達」しないといけないわけです。
■体へのアミノブロックの補充法
それで、体へのこのアミノブロックの補充法ですが、まず、一番合理的なのは「食事」です。あと注射するとか、サプリメントでとるとか……ありますが、毎日注射を自分でするのもどうでしょうか?
では、人為的につくったサプリメントをとれば?理論的にはそうなのですが、そんなに甘くなくて、食品を食べて胃腸で消化してタンパク質をアミノ酸に分解するプロセスでは「腸内細菌」や「消化酵素」による「生分解・化学反応」による「プラス要素」があるわけです。
人工的につくられたサプリメントはそのプロセスを「抜く」わけなので、食事を消化して得られるアミノブロック+プラス要素の作用が得られないのです。
■アミノブロックだけ入れてもダメなわけ
なので、理屈ばっかりで「タンパク質」=「プロテイン飲んだ方が合理的」……「あとはひたすらトレーニングすれば筋肉つく」と考える「スポーツ脳」の人がいるわけです。
ダメですね。生理学をまるでわかっていない。
さっきも説明したように、血液中のアミノブロックを増やしても、同時に各細胞では「接着剤のビタミン」「現場工作機械を動かすための燃料となる糖」がいります。
それが血液中に不足していたら……「資材はあるけど、現場は作業できまシェーン」となり、何も作業ができないわけです。
なので、筋肉や、皮膚や、臓器細胞を「修復・再生したい」「強化したい」と思うなら「タンパク質」「ビタミン」「糖質」の3要素を同時に摂取して血液中に流す作業が必要になるわけです。
なので食事メニューに「タンパク質」「ビタミン」「糖質」の食材をバランスよく配置し、さらに、それを取り込みしやすくする腸内細菌を活性化し、消化で出る汚れやごみを大便として一緒に流し出す「繊維質」も同時に入れて食べる必要があるわけです。
どうでしょうか?
「食事を1日3回しましょう」
「メニューは栄養も食事もバランスよく配分して食べましょう」
……今まで何度も言い続けられてきた「セオリー」がやっぱり根本的に詰めていっても正しいということなのです。
「肉ばかり食べて筋肉増強」「肉は食べず野菜ばっかり食べればいい」「糖質ゼロ、糖質制限」が……いかに間違っているか?わかったと思います。
■人体はあらゆる形で「アミノブロック」をタンパク質として貯蓄していることになる。
逆に、人体は多数のアミノブロックを「脂肪」「筋肉」「骨」などのタンパク質のパーツにして「貯蓄」しているともいえます。
そして外部からアミノブロックの補充が期待できないときは……これらをアミノブロックに戻して……使うようにできているわけです。
で、その貯蓄が豊富な状態が「肥満」「筋肉がモリモリ太い」「骨ががっしり頑丈」
だということです。
■人体は実はほとんどゴミを外には出さない
さて、毎日の食事で体内に入った栄養……アミノブロック、ビタミン、糖、水……これらはどうなるのでしょうか?
よく「体内の老廃物を出す」それが「大便」「小便」……と言ってしまうのですが、あたかも私たちの人体は「かなりのゴミを排出している」と思っています。
そして、大便と小便は「捨てる」とはいっても「捨てる内容」「ルートがまるで違い」ます。
そもそも大便は「大腸の中での」ものであり、人体内のゴミは出ていないのです。
本当に人体内のゴミが出てくるのは「小便」すなわち「尿」です。
さて、よく考えてみると「死んだがん細胞」「死んだウイルス」「死んだ細菌」「老朽化してダメになった臓器の細胞」「皮膚の細胞」……どうなっているのですか?
臭い生ごみとしてビニール袋に押し込んで外に捨ててありません。そんなことは一切していないです。
あの人体の中で、どうやってそれらは「解体・廃棄」されているのでしょうか?
それは血液中の「免疫細胞」が「食べて」「解体」しているのです。
彼らは「目の前のたんぱく質の巨大な宇宙船」のアミノブロックの接着部分を切断し、組まれたブロックをバラバラに……してしまいます。
すると、解体された宇宙船から出てきたアミノブロックの山は再び血液に乗って流れていき、そのブロックを必要とする臓器や細胞で「再利用」され、人体の一部にまた生まれ変わるのです。
完全リサイクルです。
■外部に物理的に出て消えていく分は何?
そして、彼らがタンパク質を解体作業をして出す時出る毒ガスが「窒素」であり、この窒素は「尿素」に変換されます。
変換された尿素、あとは電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)、それに体内で余った「水」が「尿」すなわち「おしっこ」として外部に出ます。
あとは「汗」「唾液」「胃液」「膵液」「胆汁」「分泌液」「涙」なども外には吹き出ますね。それから出血すれば血液もです。
なので「水」はけっこうな量……外に出ていきます。なので、食事や飲み物で補充する必要があるわけです。
またアミノブロックは「皮膚」「大腸上皮」「髪」「体毛」などとして外に「はがれ落ちて」出ていきます。これらの損失分は食事から得ていないといけないわけです。そうしないと体内の「脂肪」「筋肉」「骨」を分解して使うからです。
なので、人体の中では常時
「アミノブロックによるタンパク質という建物の構築」→「タンパク質の建物の解体でアミノブロックの山に戻す」→「ばらしたアミノブロックをリユースして再利用する」→作業で出た有毒ガスだけを液化して尿として外に捨てる。
このサイクルがあるわけで、しかも生きている間24時間365日途切れることなく繰り返されているわけです。
■どういう学科が関係するか
この「血液内での現象」を説明するとき、基盤となる学問分野は何か?ですが
以前、私が考案した「学問地図」を見ましょう。
「物理学」「化学」「生化学」「分子生物学」「生物学」「薬学」「栄養学」「ウイルス学」「細菌学」あたりになります。
キーワードとしても「元素」「分子」「イオン」「電子」も出てくる。「酵素」「細胞」「ウイルス」「細菌」「タンパク質」「糖鎖」……いろいろな要素の相互作用で血液と臓器や各細胞は複雑な化学反応を起こしています。免疫の反応、ホルモンの伝達なんかもそうです。
この辺のミクロレベルで物事を考えつめていくと「ウイルス感染や予防、治療の方法」「病気の病理の解明と予防、治療の方法」も分かってきます。
なので医学やると結果的に「科学全般」をやることになってしまいます。
「ミクロな科学から、マクロな科学まで」これが医学です。
(内海君:小市民)