内海新聞のブログ

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1924:カトラリーでわかる文化と経済の格差

 ナイフとかフォーク、スプーンなど洋食で使う食器を「カトラリー」というそうです。

フォークやスプーンは毎日使うので、じょうぶでデザインや持ちやすさ等そこそこいいものを……ということで、松山の「プレゼントイン」という、東京や神奈川にありそうなオシャレな……「フランフラン」みたいな雑貨店で買いました。木の柄のナイフ、フォーク、スプーンです。

ところが8年経ったらスプーンの木の柄が「ボキっ」と折れました。食器洗浄機で使っていたのもあるけど木の部分が腐っていました。

木の柄は耐久性がやっぱりなかった

包丁もなんですけど「柄と刃」が金具で留めるタイプも耐久性ないです。サビて折れました。

ということでナイフ・フォーク・スプーン、包丁など「カトラリーや毎日使う道具」は「金属一体型」が「結果として丈夫で長持ちする」とわかりました。

サバイバル用のカトラリー、包丁なども……そういう方針で揃えておいた方がいいでしょう。文明がダメージを受けて自給自足で生きていく場合も……大事なポイントです。

■新たなフォークやスプーンを買いに出かけたが
 でも、前回買ったこじゃれた「プレゼントイン」松山は、オシャレな店構えでしたが、売れないようでつぶれました。
http://www.present-in.com/
これって、象徴的だよなと思いました。松山で私が住んでいた東京23区のオシャレゾーン(杉並・渋谷・世田谷)の住民が「心地よい」と思えるような……品ぞろえの店が消失したからです。

四国で最大の経済を誇るのは「愛媛県」です。その四国最大の50万都市の松山でこういう店が成立しないということは……香川、高知、徳島なんか「見るも無残」だということです。

もう松山にまともな雑貨店……ないのです。いよ鉄高島屋のデパートがあるけど、そこもあるかどうか?です。

■オシャレな雑貨店は基本商売的には儲からない
 ここで面白い話をしておきますが、読者には若い女性やオシャレな生活をされている方も多いと思いますけど。いわゆる、あの「フランフラン」みたいな「こじゃれた雑貨店」は……基本商売としてはまるで儲からないのです。

今、松山だと隣の松前町(まさきちょう)の四国最大のモールである「エミフルMASAKI」に「ハンプティーダンプティー」という、プレゼントインより落ちるけど、いちおう女性に人気が出そうな……こじゃれた雑貨店があるのですが、正直そんな儲かってるのか?怪しい感じです。
https://www.humpty-dumpty.jp/shoplist/
こういうお店って、すごい数の食器やリビング用品、インテリア関係が展示してあって「夢のような空間」を演出しているのですけど、肝心の客が「爆買い」してくれているかというと「まことに寒い」感じです。

こっちだとイオンモールにたいてい「ワンズテラス」という雑貨店があるけど
https://niihama-aeonmall.com/shop/detail/195/
私も妻も「いちべつはするけど」「なんか買わない」……そういう感じですね。
そのうち「寄り付きもしない」事になるのですが。

お店側の「こうしたから、いけるんじゃないの?」という「思い込み」「幻想」が……全く逆に作用するんですね。

お店としては「美しい展示」「装飾」「夢の出るわくわく感」とか……「夢想」して店づくりやラインナップ揃えているんでしょうけど

当の買う側の人間からすると「見ているのは楽しいんだけど」「ここで買うかと言われるとビミョーかな」と……。

なんででしょうね?

じゃあ、どこで買っているかというと「ダイソー」「イオンの生活用品コーナー」「ホームセンター」「ニトリ」……あれ……全然毛色が違う店の方で「結果として買っている」のです。無印も行くことは行って見ているけど、なんか……出てきてしまうし結果として買ってない。

ということで、実は私はこうした「こじゃれたオシャレな雑貨・家具店」関係の仕事もしたことがあるのですが、経営側もボヤいてました「フランフランとかでもきついらしいよ」ってよく言ってました。

つい先日、モールに私が以前関係した輸入家具・インテリアの店ができていたので見たけど、がんばって店内をオシャレにモノ並べて、誰も人が入っていない……。「チーン」状態でした。

他もそうなんです。オシャレな展示とかデコレーションして生活雑貨たくさん並べているけど「人があふれている」ことはまずないです。

じゃあ若い女の人、主婦らはどこにいるかというと「ダイソー」「ニトリ」にいますね。

ははは。これじゃ「高級な家具や、食器だろうがまるで売れないよ」

■なぜこじゃれた生活雑貨店で買わないか
 自分もそうなんですけど、確かにこういう店って「わくわく」「いいな」「オシャレじゃん」って入るんだけど……そして、棚を散策して多数の商品も観たりするんだけど買おうまでいかなくて「ま、いいか」って出ちゃうんですね。

どうしてかというと「そもそも、購買の目的がない」からなのです。だって、必要だと確信したものを買おうと思って来ていないので。

やっぱ、週末でもイオンモールや、ニトリだろうが行こうとするときは「これ、買いたいのがないかな?」で「目標、目的」があって行くので。

だから、ワークマンとかも本業の土方、ブルーカラーオッちゃんのための店から、変チョコなこじゃれた雑貨店……やりだしたのを見たとき「あーあ、うまくいくのかな?」って思いましたね。どうなりましたか?あの店?はやってますか?

愛媛にはないので。知らんけど。

あと、こじゃれた雑貨店の商品って「基本値段が高い」ですよね。この時点で「やめとこ」ってなる。高いものをそこでどうしても買おうという……動機がないので、買うというアクションに到達できないわけです。

■こじゃれた生活雑貨店をまわったのだが
 さて、さすがにダイソーのナイフやフォーク、スプーンなどのカトラリーはイヤだなと思ったので「まともそう」な生活雑貨店に行きました。

新居浜に「アンシャンテ・マナベ」というそれなりのこじゃれた生活雑貨店があります。
https://kokomachi.com/niihama/shop/23175
がんばって行ったのですが、なんと「ナイフやフォーク、スプーン」が「チープでたいしたことない」ものが1~2種類しかありませんでした。種類もなさすぎ。

私としては、イタリアやフレンチのレストランで使うような「きちんとした」デザイン、形状のものが欲しかったのですが。こういうものです。
https://item.fril.jp/63e1e482e28204e3aaa13c4882c083d8
ないんです。店員に聞いたけど「出しているものしかありません」

「えー、ここでないの?」

「どういうことだ?」ということで、近くに大きなイオンモール新居浜があるので「ワンズテラス」も見たけど、ここも「棚の奥の見えないところに」「1種類、ダサいもの」しかないんです。

え?ワンズテラスの生活雑貨でこれ?しかたなく最近できたというダイソー君の「スタンダードプロダクツ」も行ったんだけどデザインとかダメですね。「ない」

無印も行ったけど「このデザイン使えないな」という変なのしかない。却下。

しかたないんでイオンスタイルの生活用品コーナーで観たけど「どうしようもないレベル」
「ちょっとさ、まともなナイフやフォーク、スプーン買う人いないの?欧米の家庭で普通に選ぶレベルのカトラリーがゼロだよ」

「みんな、家でどういうナイフやフォークやスプーンで飯食ってんだ?」
私がくたびれて言ったら、妻が
ニトリかな?」「もしかしてダイソーかもね」

今どきの人達、若い人も自分の食卓で使う「ナイフ、フォーク、スプーン」ちゃんとしたもの使ってないのか。

しかたなくダメもとでダイソー行ったんですね。

■恐るべきダイソー
 そうしたら何種類も展示してある。見ていたら私的に意外と「いいじゃん」というデザイン質感のものもありました。シンプルだけど曲線もついて丸みもあるんで持ちやすく、金属の厚さもそこそこあって、きれいにチタンメッキされているものでした。

ダイソーのチタンコーティングでステンレス製のカトラリー1本110円

「なんだよ、ダイソーのほうがあるじゃん」「食洗機で洗うからこれでいいだろ」
ということで、結果としてこのシリーズでナイフ、フォーク、スプーン買っちゃいました。1人分で330円。さっきまでの雑貨店は、変チョコデザインで1本600円とかしていたのに。

それにしても……どういうことなんだろう。日本国民の生活水準が「ダイソー」「ニトリ」「ユニクロ」「GU」「しまむら」で定義されているのか。

つまり、ホテルのカトラリーみたいなものをきちんとこだわって……食卓に並べてご飯を食べる家庭なんて「ごく、ごく少数」だということです。

そして、たいていの家庭は「食器や、カトラリーなんか」「使えればいい」程度の感覚でしか選ばない。買わない。

「デザイン」「質感」……検討してこだわることもない。

それぐらい「生活の質が貧しい」家庭が圧倒的に日本国民のほとんどになっているということです。

■悲しいね
 自分は、日本のインテリアデザイナー、建築家とか……「まるで参考にしない」です。そういう人たちがやっている「室内のデザイン例」とかも……参考にしない。

自分の場合、動画、映画などで「イタリア人の家庭の室内」「フランス人の家庭の室内」を観察します。

どういうインテリア、素材、デザインをしているかな?

観ていて、イタリアやフランス人の家庭のインテリア、デザイン、家具……洗練されているし、センスがいいです。

私は彼らから直接「センス」を吸収して学びます。

そうしてから、日本でそれをやろうとすると「途端に壁が立ちはだかっている」ことに直面します。

壁紙ひとつとっても、日本の壁紙店に行っても「イタリアやフランス人が使っているもの」はまず手に入りません。変なデザインしかない。

私が、壁紙職人に「これオリジナル作れますか?」と、フランスやイタリアの壁紙のデザインを送ると「いいですね。これ、かっこいい」「日本にはこういういいのないですね」って言われちゃう。

それぐらい……日本のインテリアデザイン……あれ?その、東京でもきれいなショールームとかで並べたり、デコレーションして展示している奴……ヤバいんですよ。

やっぱ、イタリアとかフランスの本場を見ていないと……ダメだね。

昨年ウクライナ戦争始まって、私もウクライナの現地の家庭、街、建築物をよく動画や写真で見るようになりました。

東欧、東方教会時代から培われてきたロシアや、ウクライナ方面の「インテリアデザイン」「装飾」きれいです。色的に、西欧と違って「澄んだ美しさ」「青や緑を基調としたきれいさ」がありますよね。

あれ見てから自分、ウクライナのインテリア結構好きになっちゃって。教会のインテリアも素敵ですよね。ウクライナ
https://tripnote.jp/ukraine/kiev-churches

■日本から逃げ帰るウクライナ人たち
 日本にウクライナの人、避難でけっこうきたけど、日本がいいと思って住みたがる人……いないですよね。みんなウクライナに戻りたがる。

そりゃ、日本の田舎だろうが「あの汚い終わった都市計画」「インテリアのやばさの家」に住んだら……「食べ物はあるけど」「便利はあるけど」「健康で文化的な生活はない」ことにすぐ気づく。

アメリカ人だって家は大きいしインテリアもしっかりして心地よい空間で暮らしています。アメリカ人の女性が「日本で家作って住む気はない」と思うわけです。

日本人のこのヤバさ、戦後の廃墟、バラック「教養のなさ」がすごく響いているんです。都市計画、街並みデザインは軒並み失敗し、中国や韓国の町の「汚いあの光景」の住み方が蔓延してしまった。

日本は変な部分ばっか常に外国からマネする。

不動産と住宅を開発するのがBMZの連中。変な区割りの隣と隣がすし詰めの住宅地を乱造し、無知な人間に「変な家」を建築して建てる。

役所も誰も「そんな変な住宅地つくるな」と言わない。若夫婦がしこたま、そういう悪い住宅地で「あこがれのマイホーム」を建てるけど「長く持つわけでもないし」「かといってインテリアやデザインがEU水準でもない」変チョコな……貧乏たらしい家ばかりが増えていく。

やっぱ教養がないんですよね。日本人。教養がない人が集まったら教養がないことしかしない。

ということで、まともなカトラリーがお店に置いていないという「現象」から今の日本がどれだけ「ヤバい貧相な国に転落したか」わかる出来事でした。
(内海君:小市民)