アメリカのNetflixが、潤沢な資金で自ら長編ドラマや映画を作っちゃっています。すごいことです。その中で生まれたのが日本の福島原発事故をリアルに描いた「THE DAYS」です。
https://warnerbros.co.jp/tv/thedays/
1話50分ほどで8話で映画を超える長時間ですが潤沢なアメリカ側の資金で自由に作らせたおかげで「映画を超える出来」になっています。
日本国民なら、ぜひ絶対観てほしい……それぐらいの内容です。
いやあ、何がすごいって「福島原発の敷地や設備が超リアル」に再現されていることです。まるで、事故当日に自分がその中にいるかのような……リアルさで描かれます。
「これ、どうやって再現したの?」ぐらい、福島原発の構内、制御室の計器類、配管から破壊された構内が見事に映像化されました。
しかも吉田所長を演じる役所広司らキャストが豪華で迫真の演技を繰り広げます。
次々襲う「爆発の危機」も飽きさせることなく、恐怖感満載で襲ってきます。ホラー映画みたいなノリです。
ということで1回見出したらその日のうちに6話までヘトヘトになって見てしまいました。2日で観終わりました。
さて、ここで問題の「東電」「原子力保安院」「経産省」「首相官邸」……もリアルに描かれます。首相の菅直人役が、キムタク「教場」の「警察学校長」役の小日向文世なのが「笑える」んですが、見事に「イラカン」そのものを熱演してくれています。
正直、これ見たら以前映画化された渡辺謙主演の「Fukushima50」が「気抜け」「全然大したことないじゃん」と実感されるほどです。
それぐらい「すごいでき」なんです。とにかくNetflixなんて月700円ぐらいなのでこれ見るだけでも入ってご家族で観てほしいと思います。
■菅直人について
さて、観て分かったことがあります。それは
「菅直人は首相、トップにはまるで向いていなかった」
ということでした。
私、菅直人の地元の武蔵野市出身でしかも彼の息子さんが中学の後輩なので「可能な限り応援」していました。社民連時代からです。
彼が首相になってからも「がんばってね」ぐらいは思っていました。
ところが……このドラマ見て「菅直人は、まったく首相の器でなかったし、組織のトップにしてはいけない人物」だったと認識しました。
ダメです。このドラマはフジテレビの「コード=ブルー」を手がけた増本淳氏がプロデューサーでやっているから、保守的に左翼政権の菅らを悪く描く可能性はありますが、それを割り引いても「ダメダメ」でした。
吉田所長らが必死に現場で作業している最中に「ヘリで乗り込む」のも「完璧に間違い」です。
そのあとも、イラカンで東電、保安院、経産省らをどなりつけるだけで……正直、こういう場面でトップ、指揮官がすべき行動も態度もまるでできていませんでした。
菅直人、民主党政権、左翼には日本という巨大で難しい「船」のかじ取りは到底無理だと……知ってしまった感じです。
菅直人は「てんびん座」だったです。もっと早く調べて分析してもよかったね。彼もまた、プーチンと同じ挙動になるだけです。
戦争も勝てないし、上で気分であたりちらすだけで、冷静かつ論理的な動きもできない。部下もついてこない。多数の部下とチームを動かして大きなミッションを遂行することもできない。
まさにてんびん座の「まずい点」が彼の挙動にも出ていました。
■菅直人のミス
観ていて思ったんだけどね。彼が、もし、どっかの大企業なり、私みたいな「チームプロジェクトでの修羅場」を経験してマネージャーなどとして鍛えられていたら……ああいうことはすべてしなかったのですが、いくら東工大出ても彼はスタンドプレー、個人プレーの「個人商店」でした。
読者にも会社の経営者多いんで「わかるわかる」という部分ですけど。
そもそも、店やろうと、土建屋の親方やろうと、中小企業やろうと「通らないといけない道」がある。
それは「ダメな人間の集合体で」「いかに困難なミッションを乗り切っていくか」というポイントです。
いくら自分が優秀な大工、エンジニアであろうと、頼もう、任せようとするチームの人間、新人も含めて「ほとんど自分以下」「使えない」のが当たり前です。
でも、それにいぶかって「どなっていたら」「誰もついてこないし」「業務自体も進まない」です。
さらに、プロジェクトなんて常に「障害」「困難」が目白押し。マニュアルも学校で習ったことも通用しないです。そこでの意思決定、非情なほどつらいですけど、いろいろしないといけません。
■プロジェクトで困難に直面した時トップがすべきこと
困難や障害にぶち当たったとき、トップや指導者が、基本すべき態度は
■■■■■■■■■■■
「部下を信じて任せる」
■■■■■■■■■■■
ことなんです。自分が現場にしゃしゃり出て細かい指示とか、詮索をする……えてしてしがちなんだけど……実はよくないんです。
今でも、大手企業の社長でも現場に細かく指示する人いるんですけど……やらんほうがいいね。
ビッグモーターとか、ダイソーの社長が現場の店や社員に細かく指示をやってる場面みたけど「あれ、やらないほうがいいよ」
この場合の菅直人がしなければならなかったのは、いらついて、周囲や、東電、経産省や保安院を怒鳴り上げることではなく、ましてや、現場でてんぱってる吉田所長たちの「手を止めたり」「余計な負荷」をかけることではないです。
首相が思い付きで原発をヘリで視察……愚の骨頂でした。別にあの場面で視察したところで何も変わらないし、現場は余計な首相対応での準備を強制されます。ただ現地で「どなりまくる」だけの「意味なし」をやってました。
東京側がはっきりいって「クズ」でしたね。あれ見てて。
菅直人がどなりつけるばかりなので、東電、経産省、保安院の役人たちも「委縮」「振り回されるだけ」で「肝心の情報」「相談」がしづらくなり、結果として裏で勝手に動くしかない……まずい状態が起きていました。
しかも、経産省や保安院、原子力安全委員会……各組織が責任のなすりあい、どなりまくる菅直人への「逃げ」まで演じるようになってしまった。
ああいう場面では、無能な連中を怒るより
「困って苦悩している部下らの報告や話を、ていねいに聞いて励ましてあげる」
ほうが大事なんだけどな。
■私が首相だったらあの時どうするか?
じゃあ、私が首相だったらどうするか?書いておきます。
・菅直人みたいに東電の幹部、経産省の連中を「どなりあげる」ことはしません。
・逆に「大変ですね。最後の責任は私がとりますので、現場で必要なものあったら、何でも言ってください」と伝えます。
・さらにアメリカへの支援の依頼、各国への支援の依頼を模索します。
・現地では、あのとおり「自動車のバッテリー」やら「電源」など不足していました。それこそ、現場ですぐ必要なもの吉田所長らに聞いてヘリを調達して運ばせます。
・ガレキをどける重機も人員も必要。それこそ東京からでも周辺からでも何かしら調達をできないか各方面に頼んでみます。その移送のため自衛隊・米軍にお願いします。
・さらに住民の避難規模を即座に検討します。経済からあらゆる巨大な被害を受けるので、そのオプションを各役所や部署に出してもらいます。
・アメリカはとろい日本政府と違って核事故、危機管理プログラムが徹底されているのであの時すぐ「80㎞避難」を日本滞在のアメリカ国民に呼びかけましたが……正しかったです。
・逐次、首相の会見を行い、国民への慰労と励まし、現場で戦う吉田所長らの部隊の状態を問題ない程度に国民へも共有し、みんなでこの局面を乗り切ろうとトップがひるまず立ち向かう勇気と姿勢を国民に示し士気を高めます。
・ある程度事態が落ち着いた時点で、現場視察を行い、現場の人への「慰労・感謝」「励まし」を行います。必要な物資も一緒にヘリで輸送して渡します。
・責任問題追及は事態の収拾後にやります。
イラカンの態度は……一切いらないです。上は「やみくもに動かず」「責任だけとって」「現場を信頼し安心させ任せる」「モチベーションを高めるために褒賞を与える」これに徹する。
……こういうのって、恥ずかしいんだけど、アメリカ大統領、ロシアや中国でもトップはやるんで……日本の政治家が「できなすぎる」だけですけど。
書いてて情けなくなってきた。
でも、日本政府はてこずって「困る」で3㎞しか住民を避難させなかった。
チェルノブイリだってソ連(現ロシア)は10万人規模の住民避難を結局実施した。経済より人命を優先した。
……なんか、日本政府の危機管理は毎度「大本営発表」の大日本帝国のヤバい慣習のままだし、国民を「見捨てる」対応が多い。外務省もですけど。
そういうことは私が首相だったらしないです。
ドラマでは1号機の爆発のあと2号機、ほかの原発が炉心溶融などしていけば、福島原発の敷地で「数10シーベルト(即死レベル)」の被ばく線量になると……予測がすでに経産省から官邸などに出ていました。
私はあの事件を最初から見ていましたが、そういう発表は爆発時点からマスコミなども一切ありませんでしたから「隠ぺいしていたのか」よくわかりました。
国民は枝野官房長官の事故直後からの毎度の会見で「直ちに影響はない」を言われ、何十回も「洗脳」されていましたよね?
枝野……平気でみんなにウソを言っていた。
あの時、私は枝野が発表した放射線測定の値から逆算して「福島原発建屋部分で即死レベルの数シーベルトの放射線がもう出ていた」と知っていました。
そのことも当時の内海新聞に書いたよ。うちのほうが官邸よりレベルの深刻さやその後起きることも予測できていた。
そういう実態があったので東京消防庁などの消防隊がヘリで水を原子炉上空から散水する作戦を指示されても「拒否」しましたよね。それを海江田経産相が「死んでもいけ」と無理強いしたことも……ニュースで話題になりましたけど……それぐらいやばかった。
あの、海江田のシーンはドラマでは描いていませんでした。やればよかったのに……。
このドラマでも、陸上自衛隊が菅直人らから「ヘリで放水しろ」と命令されるけど「建屋上空数百フィートで、80ミリシーベルトは出ていて無理です」と嫌がっています。でも、結局無理やり行かされています。
すでに被曝許容度を超えていますし、数分上空いるだけでも障害出るレベルです。なのに「自衛隊の存在価値は被曝してもやることだ」と強要していますよね。
ちなみにチェルノブイリの場合、上空にヘリが滞空した時点で「墜落」してました。あれぐらい放射線とか強いわけです。電子機器などが簡単に故障してしまう。ヘリや飛行機も飛行不能に陥る……それが原子力事故のひどさです。
菅直人らの動き、完全にクズですね。結果として陸自がヘリ出して最後散水作戦するシーンを見事にリアルにドラマではやりますが……「なんか、こんな程度ではショボいよね」という結果に終わるのも……描かれます。
結局、本質的に助けたのは「巨大なポンプ車による高い位置からの放水」だけでした。あのポンプ車を現場で増やす方が……よかったほどです。そっちを調達する方に菅直人は「政治力」を発揮すべきだった。
力の向け方、意思決定が完璧できていない。終始怒るだけ……てんびん座のダメな部分がモロ出ていた。
象徴的だったのは菅直人が「政府の対策本部にいてもしょうがない」と官邸の部屋にひっこんでこもっていることです。あれもまずい。
まあ、上がその場に、いないほうが現場は動きやすいかもしれないけど、あの状況下で個室にこもってどうすんだろね。
そのあと菅直人は東電本店に乗り込んで「今度はここで指揮を執る」……バカもいい加減にしろ。ただやりづらくするだけじゃん……と思いました。
てんびん座のプーチンが「孤立」「チームワークできないので」一人で核シェルターにこもっておびえているのと……同じ。てんびん座の悪いポイントが出まくりです。
ということで、正直、菅直人は「余計なことしかしていなかった」「無能なトップ」だったと痛感するしかなかった。
■てんびん座の人間は大統領や首相・司令官にしたら絶対ダメ
ということで、このドラマで再確認できる教訓は、てんびん座の人間は「大統領や首相」「司令官」にしては絶対ダメだということです。
負けるだけでなくてみんな死んでしまう……そういうことになる。
かわいそうだったのは吉田所長だね。無能な官邸、東電からも「首相らがお怒りだ」で二重に邪魔されるし、副社長や官邸にいる東電幹部から「吉田!」って呼び捨てで命令だけされて、現場てんぱってるのに……余計な茶々しか入れてこない。
見ててうんざりでした。
ドラマの最後になると役所広司や菅直人役も「そのもの」に演技なっていくところが興味深かったです。それだけ迫力あるいい演技だった。
このドラマ見たら菅直人と3人であの事件を対応していた枝野幸男、細野豪志……いかに日本を破壊していたか……みんなを路頭に迷わせようとしていたか……理解するでしょう。
そんな無能で無責任な人たちに今も議席与えて、政治家としてデカい面させていていいのでしょうか?
あの当時のこと……今の若い人は知らないし忘れている人も多いから……こうなるのかな。
でもこれだと
「アホはさらに巨大なアホになって繰り返される」
と思います。
(内海君:小市民)