内海新聞のブログ

1996年創刊の我が国最初の電子新聞

2232:手塚治虫が死ぬ前に子供と大人たちに言ったこと

 手塚治虫は死んだのに今私の中にいますよ。そしてYouTubeで彼の昔のインタビューなどの映像を見るけど、その当時は私は知りませんでした。映像の存在を。

今、観れるわけです。YouTubeのおかげで。そしてYouTubeのAIが私の思考や意志を読んで「おすすめ」で見せるわけですよね。

なぜですかね?AIのクラウドが人間の意識の集合体みたいになってきているのかもしれません。

手塚治虫の漫画とアニメを見ていた時、子供だったあなたは今は大人ですよね。でも子供だった時、手塚先生の「心」「意志」わからなかったと思います。

私もそうでした。なんかただの漫画家だよな……ぐらいで。

人って死ぬ前に本当のことを言ったり、子供や社会の人たちに伝えておきたいことをします。

手塚治虫先生は何を私たちに伝えたかったのでしょうか?
彼は死ぬ前に豊中市の中学と、自分の出身の大阪教育大附属池田小で小中学生と先生たちに講演しています。

彼はこう言っていた。

「みなさんこんにちは 手塚治虫です。
中間テスト いま終わったんですって?

きのう?じゃあ眠たいでしょう?

こういうところへ座らされてね。寒い所へ
(約1400人の豊中第3中学の全校生徒が体育館の床にすし詰めで体育座りして聴いている)

これからお話聴かなきゃならんっていうのは大変つらいとおもう。
だから今日は難しい話はしません。

僕もなるべくそんな肩をいからしてね
「諸君!」なんてことは言わないから。
気楽に話しますから気楽に聞いてください。
眠くなったら寝てもけっこうです。」

火の鳥」を彼は壇上の大きな模造紙にあっという間にマジックで描きました。
このまま漫画に出せる絵を……恐ろしいスピードです。信じられない。

そして話しだします。

「いのちというものは
ほんのわずか…50年、70年、100年のものではなくて

もっとスケールの大きなもの
宇宙的なものだと思ったんです。

そういう感じがしてきたので、僕はこの漫画を描いたんです。
この漫画の主人公の火の鳥は永遠の命をもっています。
この火の鳥は言うんです。

この宇宙というのは
「いのち」が全部あふれている
何もかも全部生命力を持っている。

たとえば星、太陽、あるいは地球……
生命力をもっている。
みんな生きている。

そういうようなことをこの火の鳥が言って
人間をはげますんです。

人間だけでなく生物もはげましているわけです。
あらゆる生きているもの全部をはげましている。

僕は今まで本当に長い間 漫画を描いてきたけど
「生きる」ということを続けて描いてきたことの
本当のホンネはそういうことなんです。

もう少し「いのち」とか「地球」ってものを
大事にして欲しいなと思います。」

■手塚先生がそう思った動機
 手塚先生が大学生だった時、第二次大戦の真っ最中でした。
連日空襲がある中、手塚先生は軍需工場で働き米軍の空襲の監視を高い塔の上からさせられていたそうです。

そうしたら、上空からあっという間に米軍の爆撃部隊が現れ、一斉に焼夷弾を投下しそれは手塚先生らも直撃しました。

爆撃から逃れ、避難所になっている淀川の堤防にたどりついたら
そこには爆撃で体をこなごなにされた市民たちの死体の山だったそうです。

「なんか人間なのか材木なのか
わからないような手足がゴロゴロ落ちていた。

僕はそれを見て、ああこれは本物じゃない。
事実じゃない!夢だ……
きっと夢だ 夢だったら早く目覚めてほしいな。

こんな悪夢は見るのは嫌だと思うぐらい……現実離れしていました。そのくらいひどい目にあった。

僕は人生の中で本当に最高のショックを受けた事件が……そこにあって。

それがもう頭に……
僕は戦争が終わって40何年漫画を描いているけど消えないのね。」

そして手塚先生は大阪大学の医学部を卒業して医師免許をとって大学病院でインターンの医師を始めます。

そして、今度は「患者の死」を前にします。

「その時に偶然、僕の担当だった患者さんが死ぬことになってしまった。臨終です。

すごく苦しんでいるわけ。
こんなにやせて……。

それでいよいよ「今、お亡くなりです」と言って
医者が家族の人に知らせた時に

その……亡くなったはずの患者さんが
すごく頭の額にしわを寄せて苦しんでいたのが

ころっと
すごくいい顔になった。

今までの苦しみを全部
忘れ去ったような顔になりました。

僕は、それを見ててですね。

人間というものは
長い「生命」のつながりの中で
ほんのわずかな部分が人間でね

そういうことから
僕は「いのち」というものは
ほんのわずかな50年、70年とか100年のものじゃなくて
もっとスケールの大きなもの
宇宙的なものだと思った。」

■人生の意味、生きる目的
……人って生きる原動力っていつも思うのですけど、幼い時や若い時の原体験があります。

私が今の活動をしようと思ったのも小学生の時に「水俣病」や「イタイタイ病」「第二次大戦の日本軍の戦記ノンフィクション」「戦艦大和の最後」を本で読んで涙を流したからです。

手塚先生が漫画を描く原動力になっていたのは、お金のためもあったかもしれないけど、それ以前に自分が経験した「戦争のひどさ」「命のはかなさ」があったからだと思います。

そして、それをどうやって無知な一般の多くの人たち、世界の人たちに「知ってもらえるだろうか」

「二度とこういうことがないようにするにはどうしたらいいのだろうか?」

「人間もどうぶつも植物も自然すべてをどうしたら破壊しないでいられるだろうか」
……そういう強い思い、気持ちが、作家としての人生の一本軸に常にあって、それが己の体を壊し続けても驚異的な作画を続ける……手塚先生の姿になったわけです。

手塚先生は中学生たちを前にこう言います。
「ここで みなさんに最後に申し上げたい。

ひとつ
皆さんは野次馬になってほしい。

なんでもかんでも……好きなことを
全部とにかく かじってほしいんです。

二つめ
皆さんが今までに受けた……あるいはこれから受けるだろう
一番大きなショックの出来事を
一生大事にもっていてください。

忘れないで持っていただきたい。
きっと役に立つ。

三つ目に
いのちを大事にしましょう。

この3つがみなさんへの僕のささやかな贈り物であります。

手塚治虫が子供たちと大人に言ったこと
昭和63年(1988年)11月1日、大阪教育大学附属池田小学校での講演。

「これは先生だけの問題ではないと思います。
ご両親だけの問題だけでもないと思います。

こどもたちが、よく私のところへ来て
人生相談をしてくるのです。

その時に よく子供たちは口で平気に【僕 死のうと思うんだが】ということを言うのです。

これはさびしいことです。数十年前まではそういうようなことを口にする子供たちはいなかったのです。

なぜそういうことを言い出すのか?

【どうせ生きていてもしょうがないんでしょう?すぐ第三次世界大戦がはじまってしまうから】
放射能が全世界にただよってしまえば どんなにそこから逃げようと思ってもムダなんでしょう?】

そういう……「達観」と言いますか、「諦観(ていかん)=あきらめ」のようなものを子供たちが持って、そして自分の人生観にしてしまうということを大変さびしく思います。

■手塚先生の最後のメッセージ
「実際 宇宙の中では
 こんなちっぽけな星に何十億もの人間が住み、無数の生物が同棲していることは考えられないことだと思います。

そういう小さなもろい星の塊に我々がいながら
お互い争ったり
いつも自分たちだけのことを考えている。

そういうような未来は
子供たちには絶対にあっては困る。

その考えだけは子供たちから捨ててほしい。

そして人間を愛し
同時に生き物のすべてを愛する
そして人生を歩んでいく

そういう子供たちに
ぜひなってもらいたい。」
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ここ30年ぐらい、こういうことを言う人、知識人だろうが芸術家だろうが
ホントいなくなったよなと思います。
学校の先生でもいないよなあ。生徒にこういう話をできる人……。

こういう人が学校の先生になったほうがいいのにな。

理屈をこねるだけの人は増えたし、動画もそういう
コメンテーターでいっぱいですけど。
ひろゆき、堀江、N国立花、維新、クズミニ政党群……
それをもてはやす人。心や魂が抜けた「ゾンビ」みたいな連中ね。

■あの学芸員こそが三流だったな
 あと、以前私になんくせつけたフジタヴァンテの学芸員の「手塚治虫なんて三流のヒューマニズムだ」なんだけど、これって結局彼のほうが手塚先生のことを理解できていない三流だったと思いました。

「お前が三流の学芸員だわ。手塚先生の作品は一流のヒューマニズムにあふれていた」と答えておきます。

■世の中の真理、本当のことをどうやって伝えたらいいのか?
 手塚先生の子供たちへの講演での話を聞いて久しぶりに、私も泣けました。
なぜ泣くかというと手塚先生の講演で話したことばは「本当」だったからです。

彼の言葉を聞いて、私の体の中では今日も温かいものが流れて沸き起こってきます。

自分が死ぬから、実の息子や娘だけでなく「世界の多くの未来を担う子供たち」に彼は遺言を残した。

実は身内より、アカの他人の私がこうして手塚先生の話を聞いているほうがよっぽど……本質、本当の話を受け止めて行動していくものです。

これも歴史の皮肉だね。いや……それこそが神が与えた「平等」なのかも。
だって、身内だけのものなら、身内の特権で終わるからね。

そうじゃない人たち、子供や若い人に伝えてあげることが……本当の人類のためになる。そういうことでしょ?

でも、そのドキュメンタリーはNHKがBS番組にしていたので、ほとんどの人が見れなかったし、伝わらなかった。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/165Q311ZMQ/
なんで、こんないい番組を地上波でガンガン、ゴールデンタイムで
流さなかったのだろう?NHKも毎日バカ番組とお笑い芸人のバラエティばっかり流すけど。わざとかな??

世の中というか、この星を牛耳る悪い人が見せたくなかったんでしょうね。
(内海君:小市民)