内海新聞のブログ

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2298:あなたもいずれやる心臓の手術で知っておくべきこと

 この1年で私の医学知識は飛躍的に増えました。神様が一流の医学部の教授の話を直接聞かせたり、質問させてくれるからです。

おかげさまで、大学医学部の全診療科のほとんどの主要な教授から病気と治療法の説明を受けることができました。

今回は愛媛県?いや……四国の心臓外科のトップの教授の話とプレゼンを間近で聞くことができました。

先日聞けたのは愛媛大で愛媛で初、四国でも初の心臓移植を成功させた泉谷裕則(いずたに ひろのり)教授が済生会松山病院で開催した「心臓外科手術の最前線」というテーマでした。

「60分だしどうせ、患者向けで簡単な話で終わりだろ」って気楽に行ったら

「えらい、ディープな内容でショックバリバリ」でした。

行ったら、参加者は病院の看護師らもふくめて20名ほどで少なかったです。でもこれだけ高度な内容をやるのに無料なんだよね。ありがたいわ。

■泉谷教授は愛媛大の心臓外科のレベルを引き上げた功労者
 泉谷教授は兵庫の出身みたいで産業医大卒業したあと、心臓外科では日本一流のひとつ阪大で研鑽して2011年から愛媛大の医学部に赴任し、長年にわたって愛媛大の心臓外科手術チームのレベルを大幅に引き上げられた(と思う)功労者です。

当時から埋め込み型人工心臓の手術を成功させ、今回、四国では初めて心臓移植を行いました。

■心臓移植をやっている病院は「超限られている」
 心臓移植というと……私には縁がないと思っていたのでまるで知らなかったのですが、日本でやっている病院は「すごく限られている」のです。

1位が東大。2位が大阪の国立循環器研究センター(通称、国循)、3位が阪大。ところがここに京大は入らず、4位が九大になってしまう。(九州大学って小気味よく優秀なんだよね)

九大の次の5位は私大でもともと心臓外科ではレベル高い「東京女子医大」。そして6位に東北大というありさまで、旧帝大でも全部がやっているわけでない。

なるほど。天下の京大医学部は出てこなくて、大阪勢の「国循」「阪大」グループが東大に匹敵するレベルで日本全国を「仕切っている」

という……状況です。

あれ?愛大より優秀なはずの「岡山大」「広島大」が全然やっていない。なんか岡山大は以前やったそうですが問題あって「やめた」そうです。

教授の説明をみていて「西日本は」「阪大・国循」から西には「九大に行かないと」「心臓移植はできない」という「お寒い」状態でした。

■冒頭からホラー映画
 講演開始早々「今日は、ユーチューブとかで出せない映像、バリバリいきますんで」と。いきなり

「取り出された心臓がチューブと電極につながれて、バクバク動いている」映像を見せてくれました。

先生、ニコニコしゃべっている傍らでこの映像が続いているので
「おえーっ。」
「こわいよぉー」

ハムさん「ムンクの叫び」「絶叫モード」いきなりですね。

「これは、外国の映像なんですが心臓移植のためにドナーから取り出した心臓が移植に耐えられ、使い物になるかをテストをしている場面です。」

「えー。」

「心臓というのは、こうやって血液を流してあげると自発的に勝手に動くんですよ。」

「きゃー。脳と関係なく勝手に動いている」

そして、教授は「これ、医学部の教材の心臓のゴム模型です」って配り始めました。

リアルな心臓を模したゴムの模型は中も開けて見れるようになっています。

「きゃー、ダメ押しですか……」
これ、お風呂で子供が投げて遊んでいたらホラーだわ。

■心臓外科手術のシーン
 それで、教授は「実際にどういう手術をしているか?ご覧いただきます」

今度は、実際に心臓外科の手術をする映像が流れます。

「これは、胸骨正中切開(きょうこつせいちゅうせっかい)といって、心臓は肺の骨「助骨」「胸骨」の中に守られてあります。
ですので、心臓に直接触るためには、まずこの肺の骨を【割ります】」

「ちょっとまってー」

心の準備ができる間もなく、患者の胸の肺の真ん中の「胸骨(きょうこつ)」に「のこぎりのようなメス」が
ガガガ……ってスパンと力入れてあっという間に皮膚も骨も真っ二つに切り裂かれます。

「こうやって胸の骨を切りましたので、開けたところを開胸器(かいきょうき)で左右に押し広げて心臓を出します。」

開ける胸の周りはなんか膜で覆われていて、その中を開胸器入れて「ぐいーっ」と開いて心臓が見えました。

これ見てモロ思ったんですが
「これ、SF映画の【エイリアン1】のシーンそのものだわ。」

そう、あのエイリアンが人のお腹の膜をぶちやぶって出てくるシーン……あれ、こういう手術シーンをパクったんじゃないの?って思いました。

ということで、その……その辺のホラー映画より「ぜんぜんこわい」シーンでした。

「それで、今回はベントール手術の様子で、心臓の太い動脈がダメになった患者さんの血管を人工血管に取り替えます。

その前に、心臓に流れている血液を人工心肺に流すためにホースを心臓に接続します。」

私は「血の海」かなと思ったら、こういう場面は「血もなく」「臓器がきれいに見えている」状態なんですね。なんか……鶏肉さばいているのと変わらない。

さて……なんか、ごちょごちょ、手が動いて心臓にたちまちホースが差し込まれます。だけど出血……しますよね。血がたまりだします。

「こうして、心臓にホースを差し込んで人工心肺で心臓の代わりにして、本当の心臓は止めます。出血した血は回収して患者さんに戻して無駄にはしません。」

拡大された心臓につながる血管を、止血してダメになった血管を「はさみ」で「チョキン」って切って、メッシュでできた3㎝の太さの人工血管を「糸でぬいあわせ」て完了です。

「こうやって血管同士を糸で縫い合わせます。自動とかできないので、外科医の手作業で昔と変わらず針と糸でぬいます。」

「これでいいわけ?」

裁縫(さいほう)が得意な人に聞きたい
「2つの筒の布同士を縫い合わせて中身が漏れない方法ってあるの?」

うわー。ショックバリバリ、宇宙ハムー。
ちょっと銀河に飛びそうな……光景でした。

「そうしたら、人工心肺から本当の心臓に血を流してもれないか、生理食塩水を流してチェックしてOKなら人工心肺を外して、胸を閉じます。」

見ていて……「こっちのほうが、心臓に悪いわ」

■心臓移植の話
 ちょうど泉谷先生が心臓移植手術を愛媛県で成功させた記者会見をした2日後ということもあり、心臓移植の話がありました。

心臓移植は、拡張型心筋症、それから心筋梗塞がひどい方にすることができます。

こういう患者さんは今、全国で859人いて、ドナーが死んで心臓をもらえるのを待っています。

待つ間は、人工心肺をつけてしのいでいます。今回の愛媛の第1号の患者も6年ぐらい待っていました。

京都でドナーの心臓が出たので、空輸して愛大病院まで運びます。

心臓は取り出してから「4時間」は虚血(血が流れていない、肉屋の肉状態)で維持できますが、たったの4時間で移植先の病院まで運ばないといけません。

送る側の病院から空港まで自動車でパトカー先導で大至急運んで、飛行機で空輸してさらに空港からパトカー先導で愛大病院まで高速道路で到着。

3時間37分で移植する心臓は京都から愛媛まで届き、2時間2分で届いた心臓を移植するための下準備を終えました。持ってきた心臓を使えるように下処理する工程もあるわけです。

だって……移植先の心臓を「切り取って除去しておく必要」がありますからね。

あとは、血管をつなぐ手術で終わるので、構図としては「意外とシンプル」なんですね。

問題は「他人の心臓なので」「免疫の拒絶反応」があります。これをブロックするため一生「免疫抑制剤」を飲み続ける必要があります。

■臓器移植で各臓器は何時間もつの?
 心臓以外の臓器移植も行われていますが、
肺は……取り出して冷蔵で8時間もちます
肝臓と小腸……12時間
腎臓とすい臓……24時間

なので心臓は「もっとも短い」部類になると。

■心臓移植して何年生きられるの?
 それで、この大手術でどれぐらい意味があるか?

たしかにあるそうです。

心臓移植の手術自体は1960年代に始まり、当初は「18日」「3カ月」と移植しても短命でしたが1980年代に「免疫抑制剤」が開発され、これで大幅に伸びました。

今、日本の心臓移植の「結果」は
5年生存……92.9%
10年……88.8%
15年……79.7%

なので「多大な犠牲を払っても心臓移植する価値はかなりある」ということになります。

これって、心臓バイパス手術の延命率と似ているぐらいなので……いい成績ですよね。

15年以上も生きられる可能性が高い。

■日本の心臓外科のレベルは世界トップクラス
そして、日本の心臓外科手術の外科医のレベル……世界的にもトップクラスで高い。

日本の心臓移植手術の延命率は世界水準より全然高い……のでした。

そして、日本の外科医の給料はアメリカの5分の1なので「ひどい話だが」「安い」のです。

アメリカだと心臓外科医の給料は最低年収「5000万円」「億」いくんで……それに比べたら日本のトップクラスの大学病院や大病院の優秀な外科医の給料が「いいとこ2000万円とかだとしても……アメリカより安いわけです。

もちろん、アメリカだと心臓移植手術は「年間5000件」とかで日本の100倍ぐらい多いんで……。

でも日本の外科医の手術は「レベルは高い」わけです。貧乏人だって一流の医師の執刀で手術してもらえるわけで……。

日本国民のみなさんは「日本の医療は本当はすごいんだよ」「安くて世界でもトップレベルの技術」「先生にありがとう」って言うべきなんだけどね。

石破さんも、もっと日本の外科医、病院が「うかばれる」システムや予算……組むべきだと思います。

今回の愛媛第1号の心臓移植手術は9時間かかったそうですので……外科医もスタッフも……神経すりへらしてアドレナリン全開で大変ですよね。

なので「そういう手術を安易にしないでいい、食生活、心臓の維持」を国民のみなさんはすべきだと……ますます思いました。

酒、たばこ、外食、菓子、ジュース、ファーストフード、フードコートで食べるの「やめんかい」「ドアホ」って感じです。

■ドナーは老人でも「弾がないんでほしい」
 それで、心臓移植のドナーですけど、日本の場合は「少ない」のが現状です。

先生の話だと、心臓に関わらず、日本では他の臓器でも移植待ちの患者が多数控えていて

腎臓……14,159人
心臓……859人
肺……607人
肝臓……401人
すい臓……161人
小腸……9人

で、親ロシアの鈴木宗男のダチの佐藤優が腎臓移植を奥さんの腎臓もらってやりましたが……腎臓アウトになって透析か移植で「助けてくれー」って人がかなりいるわけね。

腎臓ダメにするのは「タバコ」「酒」「外食」による「高血糖生活の連続」が原因なんで(ほとんど)

正直……「あなたの生活がだらしなかったから」「なったんだよ」という人が「助けてくれー」ってゾンビ状態でいるわけ。

なので、その辺のオッちゃん、若い人が「アホで無知で」「タバコを手放せない」「酒をやめられない」「外食ばかり」しているのを見ていると「これ、助ける必要があるのかな?」って毎度思うわけ。

日本では臓器移植や輸血は、宗教団体が反対することも多く、有名なのはエホバの証人の「輸血拒否」だけど、出口王仁三郎の「大本」だって「臓器移植反対」を信者に呼びかけている状態なんで……。

だったら「臓器移植しないでいい生活習慣」を各宗教団体や、国が国民に「徹底」させたほうがいいんじゃないの?

先天性やどうしても不可抗力で移植に行く人を最低限にするだけでも……この問題はかなり減らせる。

多分……90%近く減らせる気がする。

いかに「酒」「たばこ」「外食や食品、飲料メーカー」の「責任」が大きいかも国会議員……追及すべきだけどね。

健康や環境にやさしいとか抜かす「生協(COOP)」ですら、この問題は「スルー」「自分たちで体に悪い食品を組合員に大量に平気で売っている」わけでしょ?

野党の共産党社民党、立憲がやるか?やったのみたことないぞ。

クソだね。そして「あなたの自由」で「体ぶっ壊して」「心臓移植や腎臓移植助けてくれー」って泉谷先生の仕事増やして……大変な光景が続く。

■日本で心臓移植で待つ人の年代
0~9歳 51人
10代 43人
20代 78人
30代 90人
40代 156人
50代 199人
60代 160人
70代 29人

40代から60代が多いね。

■埋め込み型補助人工心臓が進化していた
 それで、心臓移植待機待ちの人には今「埋め込み型補助人工心臓」を手術で埋め込んで「しのいで」いるのですが

私も驚いたのだけど、これ……かなり進化していました。
★補助人工心臓センターについて(東北大学病院
https://www.hosp.tohoku.ac.jp/departments/d3320/
私が思っていたのは「大きな機械」で「一生病院にいる」姿でしたが、軽量化、小型化が進んで「つけたまま日常生活できる」レベルになっていました。

アメリカの「アボット社」……そう「フリースタイルリブレ」で有名な会社ですけど、あそこ……心臓関係の医療器具でも国際的にすごい会社なんです。

例)アボット社は心臓カテーテルPCIで最先端の「バイオステント(金属でなく生分解され消えるステント)」も開発した。(でもこれは臨床で失敗したので採用されなかった)

そのアボット社の人工心臓は、心臓の左心室、右心室をチューブでつないでスマホみたいなリチウムイオン電池で駆動してダメになった心臓代わりに動いてくれます。

先生の話だと「1つのバッテリーで8時間使える」ので、複数のバッテリーを交換していれば病院にいなくても自宅で仕事をしたり、日常生活をして暮らしていけるのだと。

実際、今回心臓移植を受けた患者さんは40代ですが、この人工心臓をつけて待機中は建設関係の仕事を現場でして、さらにお子さんもつくっている普通の生活ができていたと。

ただ、お風呂、それから装着した人工心臓のチューブや電線を壊さないように配慮はいるけど……それでも一生病院にいる必要はなくなった。

■埋め込み型補助人工心臓で何年生きられるの?
 これだと、3年経過でも87%は生きているそうなので、案外長生きできる。

ということで、この人工心臓は高齢者などで「心臓移植が無理」な人には「一生用」として使うこともできるそうです。

■教授への質問と回答
 ということで「愛媛の心臓外科医トップ」の泉谷教授(先生はベストドクターも受賞されています)

に直接聞くことができました。

私「ロボット手術で、心臓バイパス手術はできますか?」
教授「残念ですが、日本は厚労省が認めていないのでできない状態です。アメリカではやっています。MICSによる内視鏡による手術はできます。」

私「心臓バイパス手術をした場合、何年もつでしょうか?」
教授「何年もつか?の統計はありません。」

私「心臓バイパス手術をして、社会復帰できるのに何カ月かかりますか?」
教授「手術自体は成功すれば2週間で生活には戻れます。仕事や社会復帰を本格的にするには2カ月かかります。」

私「今、狭心症ではカテーテルによるPCIがまずされてステントだらけになってダメになっても心臓バイパス手術で最後手がうてるのですか?」
教授「今の病院はハートチームが多くなり、循環器内科と心臓外科で話してベストな方針でやります。でもステントだらけでもうだめで最後は心臓バイパス手術でも可能です。」

私「心臓外科医として手術の技量がまともになるのには、どれぐらいに件数をこなすものでしょうか?」
教授「7年~8年はかかります。でも、若い医師だからへたくそなわけではありません。手術は複数の医師でチームで行います。手術の技量は現場でセオリーや手法をちゃんとやっていけば誰でも上達していけます。なので、実は執刀医が若いから、ベテランだからで手術の質はたいして変わらないのです。」

私「愛大病院では心臓バイパス手術の件数は年間何件ですか?」
教授「年間50件ぐらいです。ただ、病院ごとで手術したあとの余命がどれぐらいか?の統計があるのですが公開されていません。自分たちの病院がどれだけかは知ることができるのですが。

そういう点で病院ごとで手術してからどれぐらい生きられるかの格差・ばらつきはあります。」

どうでしたか?患者向けの無料勉強会にしては、えらい濃い中身でした。

これだけのお話をしてもらって、質問も自由にできて無料とは。

秋篠宮総裁の済生会松山病院に感謝しますし、左翼の人も皇室や天皇家が日本国民の医療を底辺で支えている「済生会病院」「日赤病院」であることは動かさざる事実だし、左翼であろうと皇室に感謝「敬礼」すべきだと

私は……思います。

■とはいえ……心配なのは
 愛媛と四国の心臓外科のレベルを守る泉谷先生もすでに年齢62歳。国立大なのであと3年で自動定年ですよね。

あー、部下や泉谷先生を超えていける弟子は育っているのだろうか??

愛大は歴史的に新設の国立大なので、医学部、心臓の場合は「阪大」「東京女子医大」が育てた「親大学」になるので……純粋愛大出身で心臓外科維持できるレベルに早くなってほしいです。

そこがちょっと心配ですね。先生が現役バリバリのうちに手術受けられる人……ラッキーかな。

■終わってヘロヘロ
 ということで60分ぐらいなのに病院出たとき「気分わるー」状態でした。喫茶店でしばらく呆然としていました。

「なんか心臓病の話聞きにきて、こっちのほうが心臓悪かった。これ、エイリアンの映画とかホラー映画よりきつかった。」

でも、妻は「気分は悪くならなかったかな」ってケロっとしていました。

女の人は「血を見ても平気」な人が多いとは聞きますけど、やっぱ生命力ありますね。

■MICS(内視鏡)での心臓バイパス手術はどれぐらい進んでいるの?
 それで内視鏡で心臓バイパス手術できたら……いいですよね。

愛媛は、愛大ぐらいしかやれないのですが、東京や千葉県の読者は……よかったですね。

千葉の以下の病院は「MICSで心臓バイパス手術」バリバリやってるようです。
入院日数も短縮。胸の骨「バリバリ割る」ホラー映画しなくて済んでいます。
★東京ベイ・浦安市川医療センター
https://tokyobay-mc.jp/mics_cabg/
東京の人……いいよね。
(内海君:小市民)