アメリカが中国と戦争になろうとしている。台湾・尖閣諸島への中国の侵略は日々継続されており臨界点を超えようとしている。
これに対して、アメリカは中国への経済制裁をトランプ政権時代から徹底的に行っておりファーウェイなどスマホやIT企業の締め出しをした。
でも、日本は、経団連はじめ中国に長年癒着、依存する生産、マーケット構造におぼれていた。国家というのは「自給自足」「自立」が本来の姿であり、どこかの国に頼らないとやっていけない国なら、それはもはや国ではなく「植民地」「属国」でしかない。
その点では、日本はアメリカの属国で70年以上やってきたわけだが、先般のキヤノンの御手洗会長まで「アメリカも大事だが中国も大事だ」という「弱腰発言」が出てしまうほど中国への依存は、今頃ボディブローとなって襲っている。
トランプの中国締め出しのあと、ダイソーは商品群から徐々に中国製品の比率を下げている。タイやベトナムなどにスライドしつつある。でも、ITに関連しない素材の家庭用品は相変わらず中国製が多いだろう。
そして、自動車や家電などの基盤にある半導体の依存。実は日本は80年代までは逆に世界の市場をかなり持っている半導体大国だった。それがいつのまにか「安くあげよう」と中国に外注して任せるようになった。
これらは当時のパナソニックの創業者の松下幸之助が、まだ貧しくて後進国だった中国政府から「三顧の礼」で頼まれて「しょうがないなあ、助けてあげよう」と経団連が中国を途上国から現在の姿にするよう「支援・援助」してきた結果だった。
でも、その中国は、日本や欧米からさまざまな科学技術の提供・支援を受けたら「恩をあだで返す」行為に出始めた。
そもそも、中国を最初に支援していたのは同じ社会主義国だったソ連(ロシア)だった。ロシアから核兵器、生物化学兵器、弾道ミサイルや宇宙ロケット、戦闘機や空母、潜水艦などあらゆる技術を支援され、それをロシアに黙って「勝手にリバースエンジニアリング」して「他国に売りさばく」ようになった。
これに激怒したロシアは、中国に戦闘機のエンジンを供給するのをやめた経緯がある。
だが、ソ連のあとに中国を支援した欧米も同じドツボにはまった。
中国と仲良かったのはドイツ、フランスだったが、フランスは高速鉄道のTGV、原子力発電所、生物化学兵器製造技術を中国に供与して「育てた」。だが、結果として中国はフランスの高速鉄道をコピーして外国に売ったり、原発もフランスの指示を無視して事故を起こすし、生物化学兵器技術を開発する武漢のP4バイオラボも手に入れた。
さて、日本はどうなったか。JR東日本は新幹線の技術を中国に供与したら、勝手にコピーして外国に売られるようになった。
同じである。
こんなの、右翼左翼関係なく中国という国の基本的なスタンス、問題だと社会常識として知っておかないといけない。
それで、今回、日本政府は失われた半導体を自国で生産する体制を再度構築するために、台湾の世界トップメーカーのTSMCを九州に誘致して4000億円の資金も税金で出して「三顧の礼」で呼び込み、日本人技術者と生産体制の育成をしようとしたわけだ。
この行為は、中国政府にとっては「明確な反中国活動」である。なぜなら台湾自体が中国共産党政府にとっては「自国の内戦」なだけであり、台湾への支援は「内部危険分子テロ組織の台湾政権への支援」……すなわち「テロリストへの支援」とみなすからだ。
この基本認識を知らない日本国民が多すぎる。現在も台湾は国家ではない。
中国の国内で共産党か、資本主義政党の台湾側が内戦を続けて籠城している状態なのである。
だから、どの国も台湾を国家として承認していないし、日本もしていない。
けれど、それに対して、日本の自衛隊が「防衛」すると言明している。
それは、台湾という中国領土を日本が介入するという話になってしまう。
この点も、日本国民があまりにもわかっていないと思う。
台湾は国ではない。そして、台湾に住む人たちは「本土で共産主義が嫌で逃げ込んだ人」と「元からの原住民」に分かれている。
アメリカは、第二次大戦終了後、アジアにおける統治で「日本」「中国」「韓国」の方針を決めている。この3つの国の中で、もっともアメリカでコントロールしやすいのが日本だった。日本のアメリカ政府による支配は、完全に成功した。
ところが、中国、台湾についてのアメリカの評価は「著しく低かった」アメリカの判断では中国はいくら統治しても「制御不能」ということだった。
中国国民と日本国民の信頼度ははるかに違う。
だから、アメリカは中国の内政や支配は考えていない。無理だと思っている。
なので、今回台湾防衛についても、アメリカは「口では守る」が「本当に守る」レベルではない。
すると、それについて行った日本が「まずい飯を食う」ことになる。
経団連からすれば「大陸の中国共産党政府とうまくやっていたほうが、台湾程度の島でやりあうよりはるかに儲かるのだから、台湾はビジネス程度でつきあっておけばいい」という感覚だ。
これは、恐ろしいことに尖閣諸島においても同じである。
この論理が安倍・岸田政権にいつも圧力となる。
それで、安倍が、日本会議や右翼保守層から「台湾・李登輝」で中華民国を支持するスタンスをとって、けっこう反中に傾いたことは……一部の右翼・保守層からすれば「よくやった」だが、大局的に見たら「だいじょうぶかよ」になる。
このハラハラ感が、岸田政権の「どっちつかず」姿勢に表れるわけである。
そこでTSMCの九州・熊本への誘致は「ただでさえ火山と地震で火の国」に「戦争の火」も呼び込んだわけである。
仮に、今回中国政府が台湾に軍事侵攻して制圧した場合、これはひどい話なのだが、米軍も台湾を守り切れるとは思っていない。
だから第7艦隊や自衛隊の「威容」アピールでなんとか逃げている。
結果として、米軍・自衛隊は台湾防衛に失敗した場合、沖縄諸島の防衛で精いっぱいとなる後退を余儀なくされる。
そのとき、台湾のTSMCは中国共産党政府の支配下におかれ、九州に日本政府が誘致したTSMCは中国共産党の「拠点」に変貌する。
この「どんでん返し」の恐怖を……日本政府・経産省は理解しているのだろうか。
その悪夢は……「あれ?中国共産党裏切った日本は、中華帝国の奴隷になるのだ」という自信を中国政府に与えることになる。
現在、日本国内には40万人近い中国人が「居住・潜伏」している。
これが決起して、日本の市町村、外国人参政権や人権を主張して「自治体の乗っ取り」を開始する。
あるいは、自民・公明・野党の「親中議員」を総動員して「中国人の自治都市の建設を」ということになる。
最悪のシナリオが現実化するだろう。
そして、中国政府は日本国内の「反米・基地反対闘争」に多額の資金援助をしてマスコミから市民運動までコントロールして在日米軍の追放と、中国軍の駐留を行う。
ただ、日本はF35はじめアメリカの高性能兵器を多数導入しているサウジやイスラエルに並ぶ優先国家なので……アメリカの「対中国制圧」は激しいと思う。
いずれにせよ、日本ですら中国、アメリカの勢力による内戦に陥る可能性が高い。
こうして、アメリカのコントロールを失ったあかつき、日本は中華人民共和国「日本省」となる。
そういうことになることを、東大卒の岸田さんや、経産省官僚が……理解していないことが……この国のヤバさを露呈している。
TSMCの誘致って、短期的にはいいと思えるかもしれないが、実は長い戦略的には「あんまいいやり方」ではないということである。