前回の胃がんの話で「あれ?ステージ1以降とか、手術とか治療の話はしなかったのは?」
まあ、私ががんセンターの医師からレクチャー受けた際にもらったパワーポイント「数十枚」あって……胃がんの解剖から治療まですべて、ガイドラインとか現在全国の病院で標準的に行われていることを解説してもらったのですけど。
「正直、胃がんって、ステージ1で内視鏡で除去して逃げられないと」「ステージ2以降、手術とか抗がん剤とか……しても」「ロクな結果にならないし」「ロクな人生に以後ならない」「生きても死んだような人間になる」ことを知ったからです。
でも「知りたい……ですよね……」なので、淡々と書いておきます。「こんなざまになりたくない」と思ってくださいね。
とにかく「胃カメラすること」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「ステージ1は無症状」
「胃カメラを入れないとみつけられない」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「ステージ1でその場で胃カメラで胃の上皮細胞だけはぎとって逃げられれば」「5年生存率80%以上で生きられる」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「肥満」
「タバコ吸うバカ」
「酒飲んでいるバカ」
「胃カメラで逆流性食道炎と言われた人」
「胃カメラでバレット食道と言われた人」
「胃カメラで食道裂孔ヘルニアと言われた人」
「慢性胃炎あり」
「ピロリ菌感染していた(除菌しても前科取れないので注意)」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
どれかに該当した人は「いずれ胃がんになるので」
「毎年胃カメラでステージ1で見つけて逃げる」
……これが「王道パターン」
ほかは……ない。
だけど「ステージ2以上」になったら「入院しても大規模な手術」「付け足し程度の抗がん剤治療」「がんを切除しても胃がないので以後の食生活が一生苦しむ」
そういう「オチ」なんで……。
■胃がんになる「胃壁の構造」
粘膜|粘膜下層|固有筋層|漿膜下層|漿膜(しょうまく)
こういうふうになっている。左から胃の内部。右に向かって胃の外側
ハムさん「胃の袋って五重構造なんだね」
私「そう。私は従来から【全身の各臓器のがんのほとんどは上皮細胞で起きる】と論文も出してきたけどその通りだね。胃がんも実は胃の上皮にあたる【粘膜】で起きてその下が筋肉なの。固有筋層。そして胃袋の外壁になる」
ハムさん「上皮ってことは、毛細血管も多くあるだろうしターンオーバーもして生まれ変わりも早いんだよね。」
私「そのとおり。胃壁は荒れるし、細胞修復で戻るのも早い。ターンオーバーは2~3日。組織の厚さはわずか0.2~0.4ミリ」
ハムさん「がんになる部分はミクロンの薄い層なんだね。ただでさえ胃酸で大変なのにストレスや栄養不足、ホルモンのバランス異常で荒れそうだね。」
私「そう。だからストレスが多い怒る人は胃壁が荒れるよね?若い時はすぐ戻せるが、29歳過ぎて免疫細胞が低下しだし、変な食べ物たべて酒やたばこやっている人は……どうなる?」
ハムさん「アウトだね。発がんまっしぐら」
■胃がんのステージ
ステージ1:粘膜層まで
この段階だと、内視鏡で「はぎとる」ことで「無事生還」できる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー(ここまでがセーフライン)
●以下アウトモード突入
ステージ2:粘膜層をぶちやぶって、固有筋層にがんが到達している。リンパ節にはいっていない。
→手術で「胃の部分切除」になる。
ステージ3:固有筋層からリンパ節に転移している段階。
→手術で「胃の部分切除」「周辺リンパ節の切除・撤去」になる。
ステージ4:他臓器に転移
→手術できない。抗がん剤で「バイバイ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハムさん「え?案外あっけないね」
私「胃がんは、放射線が使えないのと抗がん剤もたいして効かないので手術で、がん細胞の全撤去ができない時点で詰むんだ。」
■抗がん剤で縮小「コンバージョン手術」できないの?
ハムさん「サニージャーニーがすい臓がん手術でやった事前に抗がん剤を使ってがんを小さくしてステージを下げて手術する手法は使えないの?」
私「胃がんは使えないそうだ。あんま意味ないって。あと、ステージは下がらない……勘違いはしないでほしい。診断時のステージで決定なので。」
■胃の切除ってどういうことするの?
私「いおうか?きついぜ。とりあえず、昔はお腹を真一文字に切り裂いて……胃を出して」
ハムさん「キャー、ホラー」
■たとえ手術到達しても「アウトになることが」
私「胃がんになっている胃壁とその周囲までを切り取る。だけど、ここで【あなたの知らない恐ろしいオチ】がある。」
ハムさん「どういうこと?」
私「外科医が開腹した時点で腹膜播種(ふくまくはんしゅ)という状態になっていることがある。」
ハムさん「何それ?」
私「手術の写真、見せてもらったが、お腹の腹膜にすでにがんが転移している状態だ。米粒のような斑点でがんが【飛び火】している。」
ハムさん「そうしたら、どうするの?」
私「手術不能と判断され、がんの切除もへったくれもなく手術は自動終了。縫合して終わる。」
ハムさん「え?治せないの?」
私「そう。たったこれを確認する一瞬のために、お腹を切り開くのだった。」
ハムさん「天国か地獄か?の手術なんだね。」
私「ここでラッキーなことに腹膜播種がなければ、次に進む。」
ハムさん「やった!手術行けるのね。」
私「プっ。無知はこわいな。胃袋のがんの部分になるべくせばめて【胃袋を切り取る】」
ハムさん「え?パカンって袋切っちゃうの」
私「それから、食道と切った胃、小腸を引きずりだして切って輪のようになった胃に糸で縫ってつないで再建する」
ハムさん「ぎゃー、胃腸ギロチン、糸でつなぎなおし!」
私「今はこの手術はほとんどロボットか腹腔鏡でやる。入院は14日ほど。四国がんセンターでは手術後3日目で食事できるようにしているそうだ。」
ハムさん「でも、前みたいにおいしく食べられないよね?」
私「それでも、胃を一部でも残したら前とはいかないが食べる楽しみや喜びは残るそうだ。」
ハムさん「全部胃とる場合もあるの?」
私「ある。胃全部とったら食道と小腸をダイレクトに縫ってつなぐ。」
ハムさん「胃酸が出ないし消化まともにできないよ」
私「そうだな。胃酸がないと消化の第一段階での外部から食べたときの細菌・ウイルスの死滅ができないし、酸で溶ける食材も溶けずにダイレクトに小腸に流れ込んで……。」
ハムさん「何が起きるの?」
私「消化できないので腹痛が起きるそうだ。あと、胃を切除する際に胆のうも取ることがあって、そうなるとますます消化がしづらくなる。それと、食べてもインシュリンが出すぎて血糖値が低血糖になってぶっ倒れるらしい。」
ハムさん「胃と胆のうの関係がわからないよ。」
私「胃とそこに接続されている動脈があって、それは肝臓や胆のうにつながってもいる。」
ハムさん「胃だけで済まないわけか。」
私「そう。すい臓がんもやばいのは、胃の真裏でそれだけでなく【胃・肝臓・胆のうなどにつながる動脈の間にあるから】【ちょっと間違うと大出血】【すぐがんが周辺に転移して広がってしまう】ことだな。」
ハムさん「ほかに困ることは?」
私「まともに食事と栄養が取れない人生になるので、いろいろ後遺症が残る。
■胃がん手術後の後遺症(典型)
・食道が逆流ふえる
・腹痛に悩まされる
・消化不良や下痢・便秘が起きやすくなる
・ダンピング症候群(食べて30分以内に気持ち悪くなる。倦怠感、どうき、めまい)
・胃アトニーになる
・体重減少
・脂肪便
・貧血が多くなる
・牛乳など乳製品が食べられなくなる(食べても下痢)
・骨が弱る
・やせほそってサルコペニアになる
ハムさん「いずれにせよ、胃を手術しても食べたら地獄モードで毎日暮らすのか。」
私「そういう一生になる。だから食事も小分けにして流動食メインになるかもしれない。」
ハムさん「流動食やジュースで食べていたら、かむこともしないから、脳の満腹ホルモンもちゃんと出ない。絶対やったらダメパターンじゃん。」
私「そう。歯やあごで【かむ】というアクションがスイッチになって脳は胃腸に満腹ホルモンとか出して制御しているが、それができない。かまない食事って合理性以前に人間の解剖生理の上でもアウトなんだよ。してはいけない行為だ。」
ハムさん「人間として一生、食べることの楽しみでなく、苦しみで過ごすわけか。生きていてもおもろくないかな。」
私「そうだな。今まで餓鬼畜生のように、焼肉食べて、菓子パン食べて、ラーメン食べて、酒あおっていた人生……罰かもな。」
ハムさん「そのあとはどうするの?」
私「胃がんの場合、抗がん剤はたいして効かない。医師らもはっきり言っている。気休め程度だ。いちおう転移・再発防止のためやる。」
ハムさん「抗がん剤での副作用も苦しむね。」
私「ステージ4だとほぼ抗がん剤だけだが、生きられるのは、抗がん剤うたない場合で6ヶ月。抗がん剤やったら15ヶ月から18カ月程度」
ハムさん「え?1年半で人生終了?」
私「そうなんだ。だから、私が前回【やばいから、とにかくステージ1で逃げろ】って言ったのはそういうことだな。」
ハムさん「胃がん、すい臓がんもひどいけど、胃がんも十分ひどいじゃん」
私「そうだな。その割に発病率は多いからな。」
ハムさん「みんな、日ごろの食べ物へんな物しか食べないし、タバコも酒もやるアホも相変わらず多いし……おわってるぅ」
私「だから、この記事よんで目が覚めた、気づいた人は」
1.まず、胃カメラ受けような
2.でも、その前に告知ひっかからない体なら……セコムがん保険、医療保険たっぷりかけてから90日待ってから検査行こうな。
3.ステージ1なら「以後反省」で生きられるけど。
4.ステージ2以上なら「入院と胃切除」が待ってる。
5.抗がん剤で逃げる……ムリ。
6.放射線……ない。できない。
ハムさん「いきなり、胃がん、いきなりチーン」なんだね。
私「これが2025年になっても現実なんだな。」
ハムさん「ドラマの【白い巨塔】で天才外科医の財前五郎が胃がんで、恩師の東教授に執刀されて腹膜播種とか言われてご愁傷さまでせっかく開けたお腹を閉じて……悲惨な死を迎えるシーン……まだそのままなんだね。」
私「意外と……そうだった。」
(内海君:小市民)
