内海新聞のブログ

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日本電産、永守のオッチャンへの「説教」

まあ、日本電産がどうなろうと知ったこっちゃないけど、うちの読者には経営者や上場企業幹部も多いので、一般教養的に永守をネタにして語っておこう。

 

まあ、彼に言いたいのは「自分は(アド)ベンチャーでも、社員は(アド)ベンチャーじゃない」ということだね。

 

この経営の本質をわかっていないところに、永守も個人商店のリヤカーひいて一代で築き上げた自分のなんちゃって王国の「井の中の蛙」。これが日本の経営者に圧倒的に多い「ダメパターン」なんだよな。

 

だから、行き詰る。

 

しかも、私が驚いたのは、永守は「自分のリヤカーひいていた劣等感」から知らないが、雇う後継者はトランプと同じく「学歴や華々しいステータス優先」をしたがる「ブランド指向」なんだ。

 

出自がヤバい人っていうのは、どうしても子供や外には「ブランド」を求めたがる。

親が三流大だと、子供には東大に行かせたいと思う。お受験させる。

それと同じ。

 

永守はそういう点で、これまでも「ブランド、経歴がすごい」という理由で後継者を選んでは失敗してきた。そりゃそうだろ。

 

外資や、大手の企業幹部なんて「前の会社で失敗してクビになっても」「逆に前職の汚点を隠し経歴をグレーにデフォルメしてPRに使い」「次の転職先で有利なポストや報酬を得るためのネタに使う」という「スキルのリメイク」で転職を繰り返す、ある面「詐欺師」が多い。

 

まあ、前職が大きな会社の管理職や役員だと、次の会社でも同等以上のポストを用意するからね。でも、仕事って「実際の中身」が大事であって、さらにビジネスでは「実績」がすべてになるので。

 

「いくらまじめに、ちゃんとやったんです」といっても「結果が出てないじゃないか」で終わる世界が……ビジネスなんだよ。これが厳しいね。学校と違う。

 

そして、永守はリヤカーで3人の中小企業・個人商店から2兆円までの大企業に育てたたたき上げの経営者であり、戦国武将だろう。

 

戦争するのに、お公家さん揃えて……どうなんだろ?勝てるわけないじゃん。

 

永守が後継者で呼んだり採用すべきだったのは、たたき上げで店を盛り上げてきた、自分と同じ「戦国武将」だったということさ。

 

でも、どうしても、自分がいざ成功してお金があると「上から目線」でやっちゃうよね。その弊害、老害が出た。

 

私のボスだった原丈人さんはデフタパートナーズというベンチャーキャピタルをずっとされている。彼の周り、部下はハーバードだろうが、世界の一流大学、日本の東大などそうそうたるMBA軍団がいる。

どの人も経歴だけみたら「すごすぎ」ばっか。

でもな、原さんはあんまそういうのが好きじゃない。彼が好むのは「一度会社をつぶした経験がある」という「実際に修羅場を歩いた人」のほうに興味を示す。

 

なるほどね。普通の人は、ブランドだとか、学歴や経歴を好む。

けど、仕事ができる人は「本質」をみる。

 

会社経営は修羅場の連続だ。営業もあるけど、総務や経理もある、人事もある、さらにトラブルのオンパレード、資金繰り……それらの問題に直面した時「逃げ出さず」「クリア」していく、頭脳、不屈の根性、闘志、粘り強さ、危機管理能力、人間性……そういう人間が生き残っていく。

 

よくするのだけど「三国志」って中国の戦記物語があるよね。

そこで象徴的なリーダーとして「項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)」の話があるね。

項羽は、頭がめちゃ切れて天才。でも性格は冷酷で上から目線で協調性がない。周囲はおびえてついてこれない。部下らも常に押さえつけて脅かさないと従わない。

劉邦は、頭は悪いんだけど、人間性はよく、仲間や周囲から助けてもらえる人間関係がある。

 

この二人が戦争をしたら、結果としては「一人スーパーマン」の項羽より、「多くの仲間に支えられて浮き上がる」劉邦が勝つという……話だ。

 

経営学にそのまま使えるネタ。

まあ、経営学というのは欧米の軍事学の応用なんで。基本戦争と、ビジネスは変わらない。

 

つまり、自分が能力低くても「仲間を愛し、おだて、ねぎらい、信じて仕事を任せ、報酬を十分に与えていたら」「周囲がその人のためにと個々ががんばるようになり」「その気持ちや熱意の集合で大きな戦いに勝つ」ということなのさ。

 

実は、これやってるのがウクライナのゼレンスキー大統領だよね。項羽プーチンの軍隊に、劉邦たるゼレンスキーは仲間と兵士、国民の気持ちをまとめて全員でロシアに立ち向かっている。欧米諸国も仲間にして。結果として2か月で消滅するウクライナは5カ月も持ちこたえて、ロシアを押し返していく……。

 

これ、人間社会、人間の世界の大事な本質の一つだと思う。

 

で、そういうと「あれ、武田さん、なんでそこまでわかってるのに、あなたはツンデレしたがるんですか?」って言うと思うな。

 

まあ、わかってるよ。ただ、俺は永守みたいなくたびれる経営者はしたくないんで、自分の時間とか、学問の思索とか、芸術や文化、自然との触れあいに自分の時間を使えている方が幸せなんでな。

 

だいたい「日曜も仕事しろ」なんて言っている時点で「おまえアホか?」

労働基準法がない経営者はハイリスク・ハイリターンだから休日はないよ。24時間365日仕事だよ。

 

でも、俺が社長だったら「土日、残業しないといけない仕事の仕方のほうが無駄で効率が悪い証拠だ。業務プロセスや人員配分を直しなさい」って指示するし、そこで露呈するリソース不足をどう埋め合わせるか……に頭を使うわ。

 

むしろ「世間が週休5日なら、うちは週休4日にしよう」「1日5時間でその日の仕事をやり遂げなさい。あとは帰りなさい」ってやるね。

 

あんな、永守みたいに毎日カリカリ、人を怒鳴り散らして、目の前に積まれたバランスシートや金融機関の請求書と、株価チャートに一喜一憂することに自分の人生を使いたくないんで。

 

今回、永守がクビにしようとした関は、大手企業の文化で「ワークフォーバランス」みたいな考えでやったから、確かに会社的にはつまらないけど、結果として部下らからは慕われてるんだろ?劉邦系だよな。

 

関がクビ通告されたら、部下や永守の幹部までが「頼むからクビにしないでほしい」と懇願しているそうじゃないか。皆さんも会社でそういう上司になりなさいよ。ハハハ。

 

関も現場からの苦難でたたき上げで日産でも上になった人らしいから、MBAエリートバカの人間とは違うんで。まだ、そういうエリートよりはマシだったかもしれないが。いかんぜん日産てそんな経営が上手な会社ではないんで。何年かやったふりして、結果ムリでその間の給料だけもらって高額退職金でバイバイ……それぐらいの話だろ。

 

いずれにせよ、永守のオッちゃんが沈んだ時点で、この会社もロスチャイルド系の住友財閥に奪われ、解体されてしまうと思う。

 

滅亡を止めたかったら、永守さんが私に「年俸数十億」で最高顧問でも頼むことだな。

え?するわけない。じゃ、おわるわ。